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第10話 恐怖体験!?……もう太ることは許されない…!!

あのクソやろ……もといレナードが我が家に訪れてから約一週間、私は地獄な日々を過ごしていた。


きっかけはドレスを買いに行った服飾店での出来事だ。



「ジュリエットさま?どーゆーことですか?こちらを向いてください?」


怖すぎて侍女のミザリーの顔が見れない…。


本来、貴族の夜会では婚約者から贈られたオーダーメイドのドレスを身に纏い参加するのがしきたりだ。

しかし今回は1週間しかないし既製品を手直ししてもらって何とかすることに決めていた。

あのボンクラがギリギリに言ってきやがったからねぇ。

服飾店の中を見て回り、首元にギャザーが寄っているAラインのノースリーブドレスを見つけた。

色も黄色を基調として、裾にいくにつれ青になっている。

他に良さそうなドレスもなかったし、これを買うことにした。


ドレスが決まると、店員が寄ってきた。

サイズが変わることもあるから、採寸をするのだ。

まぁ成長期以外は基本変わってはいけないとされているので、あってはいけないことではある。

あくまでも『変わらないですよね~?』の確認作業だ。

そう、確認作業だったんだ……。


「サイズがワンサイズ上げないといけなさそうですねぇ?なんでですかねぇ?」


ミザリーの質問攻めがつらい……。

そう、太ったのです。


原因はわかってる。

動かない作家業に加え、短距離で見つかる薬草採取しかしない冒険者業。

そのくせ執筆の合間につまむお菓子に、おいしいご飯達…。

それは太りますよね、はい…。


でもこれだけはわかってほしい!

全然太った感じしないんだよ?!

ウエストとかまじでモデル並みに細いんだから!!

キレーなくびれがあって、すら~としてるの!

前世の私とは大違いだよ!!

それに私だって太りたくはない!涙

でもご飯はおいしいし、作業中で少しつまずくと何かをつまむってゆーのがクセなんだもん!

きっかけは、「これなにが面白いんだ?」ってネームをみたときだったなぁ。

ってそーじゃなくて!

つまりは不可抗力なの!!

でもそんなことはミザリーには通じるはずもない……。


「ご、ゴメンナサイ………」


目をそらしながら謝るも視線が痛すぎる…。

詰めてくるミザリーの視線を横目にドレスの購入を進めた。


「あ、あのじゃあ、そのドレスを…」


「今持っているドレスと似た色の今よりワンサイズ小さいものはありますか?」


割り込んできたミザリーの言ってることが理解できず、彼女の方を振り向く。

しかし笑みを浮かべた彼女は服飾店の店員と話を続ける。


「わ、ワンサイズ小さいものですか?こちらのデザインでもございますが……」


少し窺うような店員に、ミザリーははっきりとした口調で答えた。


「同じデザインであるのですね!よかったです。ではその『ワンサイズ小さいもの』をスチュワート子爵邸に送ってください」


「ワンサイズ小さいものでよろしいんですか…?」


戸惑う店員に、ミザリーは笑顔を浮かべ、私の方に向き直しながら話す。


「大丈夫ですよ、まだ1週間『も』あるんですから。ね、ジュリエットさま?」


その圧しかない笑みに逆らえるわけもなく…


「ハイ……」


そこから先の記憶は……あまり思い出したくないとゆーか、覚えてないとゆーか……。

ひとことで言えば……『地獄だった』……。




そして1週間後。

なんとかワンサイズ下のドレスを着ることに成功した。


もう絶対太らないようにしよう……


そう心に決めた。

それは前世でダイエットをやり始める時に思うそれよりも、遥かに強く思ったのだ…。


ビルエッド伯爵家から出された馬車の中で地獄の日々を思い出していると、馬車が止まった。すると、


コンコンッ


馬車の扉がノックされ、レナードが降りていく。

続いて降りるため、席を立つとドアの外でチッと舌打ちをしながらレナードがエスコートの手を出していた。

彼は別に私をエスコートしたくて出しているのではない。

ほかの人から見られた時に外聞が悪いからだ。


私だってエスコートいらないけど?

なんなら『チェンジで!』って言いたいですけど??


さすがに心の声に従うわけにもいかず、彼のエスコートを受けながら馬車を降りる。

その後、お互い嫌々ながら腕を組んで会場へと向かった。


会場に着くと、アナウンスとともに入場する。


『レナード・ビルエッド伯爵令息とジュリエット・スチュワート子爵令嬢のご入場です!』


拍手もそこそこに一歩ずつ進んでいく。

キラキラとしたあかりに、オーケストラの生演奏。

その光景が某テーマパークにあるお城そのものだった。

そんな夢のような世界観で現実に戻してくれるたくさんの視線。


この入場いる?

絶対いらないよね??

学校の卒業式とかもあったけど、マジでいらんとか思ってなかった…。

誰それ?になるしさぁ

やるなら皇族と公爵まででいいやーん!


「久々に見たわ、スチュワート子爵令嬢」


「お身体が弱いんでしたっけ?」


「誰も相手にしたがっていないだけでは~?笑」


いろんな声が聞こえてくる。


ジュリエットになってから早数ヶ月、私は全然夜会やお茶会に出ていない。

なぜなら呼ばれないからだ!

呼ばれてないのに勝手に行くことが許されるのは、たぶん公爵令嬢までだろう。

この銀髪のミステリアス美女に加え、わりと内向的だったジュリエットはまわりに馴染むのが苦手だったみたい。

夜会に出てもずっと壁にいて壁の花になってたみたいだし。

まぁ作法とかもわかってないし、名前もわからんから助かりますけどね~

でも針の筵ってゆーか、まじで居心地悪い……

これを思うと冒険者ギルドのほうがマシだな……



次々アナウンスがほかの令息や令嬢の入場を知らせる中、組んでた腕をはなすと、甲高い声が聞こえてきた。


「レナードさまぁ~♡ここにいらしたんですねぇ~♡」

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