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マイルリレー【シンクロ】―4人が繋がるとき0.1秒世界が遅れてついてくる―  作者: スドタケ
Season2|新体制編

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第41話 仮の四人

新体制になって最初の本格ミーティングで、役割がようやく形になった。


真壁が前に立ち、瀬川がホワイトボードに名前を書く。


その並びだけで、代が変わった実感がじわじわ来る。


神崎のいた位置に今は真壁が立っている。


まだ完全には馴染まないが、それでも部は止まらずに回り始めていた。


「まず、マネージャー長は遥」


「はい」


「記録と器具の補助を西野」


「分かりました」


「一年はまだ仮だけど、今日から少しずつ役割を見る」


井坂がすぐに反応した。


「仮って、マイルもですか」


真壁がうなずく。


「そうだよ」


「だったら、速い順で良くないですか」


瀬川が静かに返す。


「マイルは、速い順で決まらないです」


「でも速くないと話にならないでしょ」


「速さは前提です。その上で、流れを切らないことのほうが重要です」


「流れって」


「受け取りと渡しです」


そこで真壁が口を挟む。


「一人で速くても、前のやつの流れを殺して、次に置いていくやつは使いにくい」


井坂はまだ納得していない顔だ。


「でも、エースならアンカーじゃないんですか」


その問いに、真壁より先に瀬川が答えた。


「普通はそう考えます」


「じゃあ、朝倉先輩は?」


「今は三走が一番いい」


「なんでですか」


「受けるのと、渡すのを両方やれるからです」


少し静かになる。


蓮自身も、その言葉を聞きながら整理していた。


アンカーがエースという考え方は分かる。


けれど今の自分に必要なのは、ただ最後を任されることではなく、流れの中で深く入る場所だ。


瀬川は続けた。


「朝倉くんを三走に置くのは、エースだからじゃないです。二回繋げるからです」


井坂が目を細める。


「シンクロのためですか」


「それもあります」


「それ“も”」


「走力の問題もある。三走は長く苦しい形になりやすいので」


真壁が笑う。


「つまり、きついとこ押しつけてる」


「雑に言えばそうです」


「先輩ひどいな」


遥が呆れたように言う。


「言い方だけでしょ、それ」


その日の仮メンバーは、真壁、倉橋、蓮、瀬川になった。


「一年は倉橋」


真壁が言うと、井坂の顔色が変わる。


「……俺じゃないんですか」


「今はな」


「理由は」


「倉橋のほうが受け渡しで流れ切らない」


井坂は食い下がりかけたが、瀬川が一言足した。


「悔しいなら、奪ってください」


それで口を閉じた。


倉橋は名前を呼ばれてむしろ戸惑っていた。


「俺でいいんですか」


蓮が答える。


「いいかどうかは、これからだろ」


「……はい」


「でも、今は選ばれたんだから、遠慮しなくていい」


倉橋はその言葉に、少しだけ背筋を伸ばした。


部屋の後ろでは、高梨がラップ表を抱えたまま、蓮と一年たちの間に流れる空気を目で追っていた。


小宮山は何も言わず、練習日程を書き写している。


新しい四人はまだ仮だ。


けれど、仮だからこそむき出しの熱がある。


誰が残るか。


誰が奪うか。


誰が繋ぐか。


それが、これから本当に決まっていく。

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