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7話 ラーメン2


 ラーメン屋のメニューを見るとやっぱりアゴだしの煮干し中華だった。というか店主が知ってる顔だ。

 

「料理長、料理長じゃないか。おいおいこのラーメン屋もやっているのか」

 

「おや黒瀬さんじゃないですか、お久しぶりですねぇ。ワタシ、意外と手広くやらさせてもらっていますよぉ」

 

 糸目で怪しい人相の男だが料理の腕は超一流。海都の1番人気レストラン、スイーツ店やその他の飲食店もほとんどこの人が関わっているらしい。名前は……誰も知らないな。皆、料理長としか呼ばない。

 本人が海都アトランティスに来た理由は魔物を調理してみたいからだと。そんな理由で来るやつは割と多いがここまで影響力を持つのはそうそういない。

 

「まあいいか。煮干し中華の大盛りお願い」

 

「あ、私も同じのものでお願いします」

 

「オーダー承りました。ふぅ……煮干し二丁入りまぁす!」

 

 料理長が勢いよくメニューを繰り返す。あんたそんなキャラじゃないだろうに配膳するのかよ。

 高級レストランのシェフなのに何してんのほんとに?

 店内はカウンターと小上がりがあって大人数で来ても入れそうだ。水をセルフで持ってカウンターに座る。

 

「先輩、レストランに行ったことあるんですか?」

 

「ん?ああ、前にレフィとな」

 

「………………へぇ。それは良かったですね」


 うおっ、季節はまだ春なのに急に気温が下がったぞ。うん?周りの客も顔を青ざめてどうしたんだい?

 え?俺の顔も青い?ハ、ハハ。気のせいだろ。何か変なことでも言ったか?

 

「こ、今度八重も一緒に行くか?レストラン」

 

「是非!行きます!!!」


 そんなにレストランに行きたかったのか。毎回ラーメンは飽きるからかな?良い店じゃないと満足しないだろうしお金貯めよ……。懐は一向に厚くならない。

 

 圧迫感が突然無くなり、なぜか周りもホッとしている。

 ……そうか!腹が減りすぎておかしくなってきたんだな。俺も腹が減るとおかしくなるからな、わかるわかる。

 

「へいお待ち、煮干し中華大盛りですよ。背脂はお付けしますか?」

 

「多めでお願いします」

 

「あ、私はいらないです」


 来た来た。出来立てだから湯気がたっていてもう美味い。早速食べるとするか!

 

「「いただきます」」


 煮干しがよく効いている黄金色のスープに中太ちぢれの麺が絡んでよく合う。自家製麺だからかもちもち感もあって啜るのが止められない。あっさり系だが背脂を入れた分、少しこってりにもなっていて食べ応えもある。

 

 やっぱりラーメンは最高だな。


 同期率が上がります 三段階 10%


「んむ?」


 なんで同期率が上がってるんだ?

 今日は魔物は食べてない。ならラーメンに入っているのか?見た目は普通なのに。


「料理長、もしかしてラーメンに魔物って使ってる?」


「おや気づかれましたか。トビウオではなくトビトビウオを使っているのですよ。味覚が鋭いですね」


「んぐんぐ、ぷはっ!私全く分からなかったです!おかわり!煮卵ありで!」


 オープン記念で今日だけ使用しているとの事。わざわざこの日のためにスープを作ったとかすごいな。

 え?レストランでも同じような事をやっているって?新しい技術を試したくてここにいる?

 流石料理長、常に料理を美味しくしようとするその精神。尊敬するに相応しい。


「でもアレは値段が高いはず。今日限定のラーメンでも赤字になるんじゃないか?」

 

「そこは心配ご無用。ワタシ自ら取りに行ってますので問題ないですよ。ワタシ、料理長ですから」


 料理長ってすげー。(投げやり)

 

 トビトビウオ。名前の通り2段ジャンプするトビウオ。1度目で滞空、2度目で超加速してくる。空中を飛行機のように飛ぶことから別名ジェットフィッシュとも呼ばれている。群れで行動しているせいで獲るのは普通の船では無理。貫通してすぐにズタボロになる。

 

 というか海の魔物のせいで海都の海域は漁船は禁止されているはずだが?こっそり依頼したのか新しく専用の船を作ったのか。

 

 …まあ美味いからなんでもいっか。言われると煮干しの味というか奥深さがより広くなっている気がする。プラシーボなのか味覚が鋭くなってるのかわかんね。

 うめうめ。全然飽きがこない。


「貴重なラーメン、よく味わうか」

 

「ありがたいです!とてもおいしいので!おかわり!あとうずらとチャーシュー追加で!」


 こいつ、気づいたら何杯もおかわりしてるし。ちゃんと噛んでいるのか?ちゃっかりトッピングもしてるし。

 まだ若いし大丈夫なのだろう。若いっていいな。

 俺はスープまで飲むと満腹感がくるので2杯までと決めている。最近は油をとると胃がキツくて困る。でも毎回背脂は入れちゃうんだよなー。

 

 今日は無理してでも食べよう。今食わないでいつ食うの。今でしょ!


「よし!俺もおかわりで!」

 

「私もおかわり!先輩の奢りなので今日は食べますよ〜!」

 

「は!?言ってないが!?」

 

「魔猪の討伐報酬ありますよね?それに可愛い後輩にお金を出させるんですか?ほんとに?」


 うぐ、それを言われると痛い。確かにお金は残っているが……。

 でも諸々の装備代金は高くついたし……。


「はあ、わかったよ。俺の奢りだ。好きなだけ食え食え」


「わーい。先輩ごちになりまーす!てなわけで料理長さん、おかわり!フルトッピングでお願いします」


「ふふふ、注文承りました。全盛入りまぁーす!!」


 おま、まだ食うんか!?もう2キロ以上食っとるぞ?でも体型は変わらないしどうなってんだ?


「気になりますか?白覇家の技『養納』です。たくさん食べてもへっちゃらです!」


「はあ!?ずっる。そんな技もあるのかよ」


 ああ、奢りって言わなきゃよかった。そこから八重はスピードを上げ大盛をさらに数杯食べようやく終わったのだった。

 

「ご、ごちそうさまでした。お、俺の金が……」

 

「ご馳走様でした。とても美味しかったです!!」

 

「ふふふ、御二方来てくださりありがとうございました。では黒瀬様こちらお会計です」


 うっお。財布全部でピッタリ。レストランで食うよりもかかった。

 まて。もしレストランでその養納?とかいうの使われたらどんだけかかるんだ?

 ……高額な採取物とか調べておこう。一応念のためな?


「まあなんにせよ本当に美味かった。人生で数えて上位に入るほど」

 

 久しぶりにラーメン食べたけどいつ食っても最高だ。

 ラーメン最高!ラーメン最高!

 

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