19話 決着
手元にあるのは青狼のナイフのみ。一年前から使っても刃こぼれしないメリス製の名品。使い手である俺の技術は大してないのにここまで寄り添ってくれた。
錆びた剣とぶつかるとあっけなく破損し刃は使い物にならなくなった。
「まだだ!」
「ギェ!?」
下から突然の攻撃にゴザンは反応出来ずまともに顎にヒット。
ナタが刺さっていない方の足で膝蹴り。ナタが足に刺さっているおかげで本来出来ない体勢からでも攻撃できる。
代わりに足が裂けている気がする。超痛い。
「ここまできたらよぉ。やるしかねぇよな!!!」
剣の化け物ゴザン。だが歳をとっているから筋肉は少ない。そしてこの距離、両手で掴んで全力で拘束する。
やりたくないけどやるしかない。ナタもナイフも無いなら出来ることをする。
「いただきます」
首に噛み付く。生肉、それも魔物の肉。超越個体の肉。俺の体がどうなるかはわからん。だがこのチャンスを逃すわけにはいかない。
ゴザンの絶叫が響こうがこちらの肩の肉を喰われようが関係ない。有利が俺にある今、先に殺す。
「くそまずい。ゲテモノはこれだから」
「はな、せぇ!!ギョプッ!?」
希望通り離してやったのに。そん代わり思いっきり腹を蹴ったけどな。
……それでも剣は離さないのな。
「せぇ、のっ!」
小盾をブーメランのように投げる。悶絶していたゴザンの顔に命中、よし!
「あとは……」
足に刺さっているナタ。嫌だが今しかない。
「ふん、ぎぎぎ!いてぇ!くそ!」
足に刺さっていたナタを引き抜き接近する。
痛みは無視して走る。一歩ごとに気が狂うような激痛が走るがそれがいい。きつけになる。
より手に力が入る。血が滴るほど握る。
「ははははは!!!楽しいなぁゴザン!」
ナタを振りかぶる。当然剣で防御するだろ?
するよな? ちゃんと受け止めるよな?
「鱗流ッ!」
きた。それを待ってた!
「見様見真似、刀取り!」
ナタはフェイク、視線が釘付けだったからな。それはもう思い通りの行動をしてくれた。
流れるような動作で手からナタがすっぽ抜け、そのまま両手でゴザンの剣を掴んで引っ張る。
「や、やめろ!」
「は?無理」
今更すぎる。そして手にした剣で肩から腰までバッサリと。
〈勝者アカリ。よくやった〉
「ふ〜キツかったー。」
片足、出血と筋肉断絶。首、噛まれて肉が減少。そのほか骨折と斬傷があるがおおむね重傷は避けれた。
「ギリギリ勝てたな。エル、これでいいのか?」
〈ああ、不壊を使わずにここまで戦えるなら充分資格がある〉
なにをしたくてこんなことを? それに資格とは?
〈ゴザンが歳を取ったとはいえ我の能力を使わずに勝ち、奴の剣で殺した。奴の剣を飲んでみろ〉
ええー。この血に汚れた錆びた剣をー?
〈いいからさっさとやれ〉
はいはいやりますよ。あ、レフィそんな人外を見る目はやめてもらえます? 俺もやりたくはないけどエルがやれって……ちなみにどうやってやるの?
〈顔を上にしてそのまま飲め。口に入れれば溶けるから問題はない〉
試しに言われたままやると本当に溶けた。シュワシュワ音を出して液体になる。
え? ゴザンの血? そのまま胃に入っていくよ。
業績「ゴザンの討伐」
超越個体ゴザンを倒したものに送られる
報酬 奇物「金剣」




