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18話 ゴザン


「ぬし、わしになにをした?」


 黄金眼を発動した瞬間に目の前に剣が来ていた。あと少しで目に刺さるところをレフィが槍で止めてくれた。危ねえ、距離とろ。


「あら、いきなり襲うのは無粋じゃない?」

 

「ぬし、なにを見ようとした?」

 

「無視? イイ性格してるわね」


 見た目からは考えられないほど力が加わっているのかレフィの槍が押されている。嘘だろ、位階が高いレフィが!? 

 いや、この隙に見るぞ!


「もう一度開眼!」

 

〈我も見るぞ〉


 

 ゴザン 超越個体(エターナル)

 保有能力 金剣術

 

 ………を守る剣。すでに終わった世界の住人。屈辱に(まみ)れながら生きている。今は森のゴブリンをまとめ勢力を築いているが人間に敵対は禁止している。かつて仕えた主はすでにいない。


 

「あいつ強くね?」


 超越個体ってまじ?

 クラーケンと同じレベルとは思わなかった。

 

〈…………思い出した。まさかゴザンとは〉


 知ってるのか?こいつのこと。

 

〈なんとなく覚えている。我が民だったはず〉


「おいゴザン」

 

「なぜわしの名を……。それがぬしの力か?」

 

「クロセ! あまり持たないわよ!」


 ゴザンは俺に話しかけながらレフィと互角に切り結んでいる。いや表情は余裕のある顔つきでレフィの槍を紙一重で躱し、剣でまともに受け止めることはないようだ。

 ただ純粋に技量のみで戦うゴブリン。一番やりずらい相手だ。


「エルを知ってるか!」

 

「なにを言っ……いや、エル? 貴様なにを知っている!衝風(しょうふう)!」

 

「この、離れなさい! 散水!」


 風と水がぶつかり合う。急な突風は一振りの剣から、対する水の防護は英雄の奇物から。

 とにかく距離は取れた。


「俺の中にある。俺が持ってる」

 

〈ゴザン聞こえるだろう〉

 

「あ、ありえない。その声は貴方様がなぜ」

 

〈我はこやつの中にいる。貴様はどうする?〉

 

「なればわしもお供致します。成すべき時がようやく来たのですか」

 

 〈アカリ、試練をやろう〉


 ん?試練?

 

 なに簡単なことだ。ゴザンの一撃に耐えてみせろ〉


 いや不壊あれば余裕〈限定封印(シール)、不壊〉え、使うなとまじすか。

〈お前なら出来る〉

 

「ぬし、名前は」


黒瀬灯(くろせあかり)だ。よくわからんが来い!」


「頑張れー、クロセー」


 向こうは何故かやる気を出している。不壊を使えないということはピンチだ。今まで頼りっぱなしだったから行けるか不安しかない。


 技能「暑さに侵された脳みそ」発症

 技能「生来の狂人(小)」発症


 ピンチはチャンス。ここを乗り切れば俺はまた強くなれる。笑う。感情が止まらなく、たまらなく笑えてくる。


「くは、耐えるんじゃあダメだ」


 殺す。ゴザンは俺を舐めている。殺す。決めると感情と体の感覚がズレていく。感情は楽しくて仕方がない。体は目の前の敵に反応しナイフとナタを構えて突撃姿勢。


「征くぞクロセ。しゃああ!!!!!」


「ふんっ!」


 向かってきたゴザンに即、ナタを投げつける。


「鱗流、足が空いておるの!」


「くそ!なんだよそれ!」


 投げたはずのナタが錆剣にいなされて俺の足に刺さり固定する。摩訶不思議な技術だが気にしてられない。


「このっ、おらぁ!」


 腕についている小盾で殴りつける。この体格のゴブリンなら気絶する威力があるが……

 

「鱗流、効かんよ」


 だよね。知ってた。

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