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11話会議2


「ヘルグリオさん、ラーチェスって知ってる?」

 

「オメェ知らないわけ……ああお前さんは知らないか。執行官は知ってるよな?」


 それくらいは知ってる。

 

 勝手に大穴に侵入した者や島で犯罪を犯した探索者を捕える警察のような役割だ。

 

 基本的に黒い服に顔も隠しているから誰が執行官かはわからない。復讐や報復されないために全員同じ格好にしているらしい。

 

 ……はずなんだが目の前の執行官を名乗る神父はどういうわけか顔も隠さず堂々と立っている。


「ラーチェスは協会の最高戦力といってもいい人物よ。国級探索者は必ず一度は顔を合わせるわ」

 

「ンン、アイツは国級が犯罪した時に出てくるヤツだ。強くても悪い事はすんなってナ。だが何故出てくるんダ?」


「こほん!そろそろ説明しますよ。お静かに願います」


 ガヤガヤが一瞬でシンと静まり返る。ラーチェスの威圧に気押されたからだ。国級と遜色ない威圧。否が応でも従わざるをえない。


「ようやく話せますね。私が説明するのはそれだけ重要とお考えください。まず協会は三原色大森林、青の森エリアボスのゴブリンをアシュラと名称する事に決定しました」

 

「次に作戦ですが側近のゴブリン、青の森の魔物は特級以下の探索者に適切に任せアシュラ討伐に関しては国級探索者複数人による瞬間火力で挑む予定でした」


 意外と普通のお知らせだった。ちゃんと協力して討伐しましょう、わかりやすい作戦だ。

 いたって普通の作戦だが?


「ここまでが2日前まで予定していた作戦になります」


 ……?どういう事だ?


「2日前より大穴へ潜った探索者が帰ってきておりません。調査した結果アシュラが大森林の緑の森に進軍している事を確認しました」

 

「また配下ゴブリンの装備品には探索者の装備を着ているのを確認。前例の無い探索者装備の再利用、緑の森エリアボス『オロチ』とは違い知能の発達が著しいと協会は判断し、アシュラの脅威度を国級の上である神秘級生物と認めました」

 

「現時点で帰還していない探索者には「樹剣」、「空鍵」、「風置」、「白姫」も含まれています」


「……まじかよ」


 思ったよりも危険な状況だった、草も生えない。

 国級探索者というかエンキもまだ大穴から帰還していないのか。

 まさか死んだんじゃ……。


「おい!協会はどうすんだよ!」

「お、俺は嫌だ!まだ死にたくない!」

「お前らで頑張ってくれ!俺は国に帰るぞ!」


 上級探索者が口々に騒ぎ出す。

 最悪の場合アシュラが大穴を登って地上、アトランティスに来る可能性すらありえる。ゴブリンが一般人を襲い貪り食う光景。

 そうなれば終わりだ。地獄絵図が広がる。


「……それだけ?たったその程度のことで重要事項?メリー行くわよ。シルベストはメリーの護衛、クロセは私についてきて」

 

「了解レフィ、30分後に集合しよう。必要な装備をとってくる」

 

「博士、グローブも持っていきましょう。戦闘データを取る良い機会です」

 

「それもそうだね!楽しい実験になるぞぉ!!」


 唖然とする奴らはなぜ動かない?


 そうならない(地獄絵図)ためにも今から向かう(・・・・・・)

 速攻で迅速に処理をする。

 国級が帰ってこない?関係ない

 エンキも帰還してない?助けに行けばいい


 何をしにこの島に、ダンジョンに来た?

 金を稼ぐため。祖国のため。強くなるため。


 危険なストレス発散でスッキリするため。


「レフィ、楽しくなりそうだな」

 

 笑う。昔からそうだ。

 緊張する時ほど笑ってしまう悪癖。

 気味悪がられるほどに、にっこりと。

 でもここではそれを嘲笑する奴はいない。


「ええ、クロセ楽しくなりそうね」


 人死が出ているのにレフィも笑っている。

 英雄とかなんとか持て囃されているがこいつも未知を知るために世界を冒険していた元冒険家。退屈な毎日を嫌って楽しく生きることを選んだ。

 トラブルが起きる、日常が変化することに喜ぶ異常者。

 

 似たもの同士?

 いやいや英雄と一般人の探索者だぞ?

 ついてくだけで精一杯。


「英雄サマにお供君よぉ!やる気マンマンじゃねぇノ!」


 他の探索者も今から向かうようで各々準備を進めている。

 まあオロチの時とやる事は同じだ。幸い装備は持ってきている。十分勝算はある。


「みんな!準備が出来次第行くわよ!ボス狩り開始ー!!」

 

 さあ楽しい楽しい探索の時間だ。

 

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