3.仁の怒り
「自己紹介がまだだったな。俺はユート、転生を司る神様をやってる。よろしくな。」
ユートの自己紹介を聞いた仁は、まだ何者も信じられぬという様子で、こう返した。
「転生?異世界に降ろされた僕を、また別の世界でこき使う気ですか?勘弁してください。もうあんなのは嫌なんですよ。熱いし、苦しいし、痛いし。帰れるって聞いたから俺は、僕は、頑張った。死ぬ思いをして、世界を二回も助けた。そうしてそこからも良いことをし続けたんだ。貰ったペンダントに溜まる力が、人を助けたりするたびに溜まるエネルギーが、元の世界に帰るエネルギーって聞いてたから、それを信じてがむしゃらに頑張った。それなのに…
それなのに!あの首飾りは力が溜まりきった瞬間!俺の首元で爆発したんだ!
何をしたって言うんだ!お前らは何をさせたいんだ!口減らしには成功したんだからいいだろう!最後に俺に向けられた目線は哀れみとか、侮蔑とかそういう目立った!あいつらは全部知ってたんだ!それを知られてなお、お前らは俺にあんな世界でなにをさせようって言うんだ!俺が何をしたって言うんだよ!」
「落ち着け!俺はお前らのいた世界とはなんの関係もない!」
半狂乱でまくし立てる仁をユートは宥めながら言った。
傍らにいたミアが泣き出し、緊張した表情で、エルミナとメルが慰めている。
「…悪いなみんな、今日はちょっと帰ってくれ。こんな状況じゃ、酒も美味くはねえだろ」
「だが、ユート殿…」
「てめえのガキが泣き出してんだ、素直に帰れこのお人好し共が。俺が何とかするから心配すんな。」
多分元魔王勇者夫妻も、郁也も、この場に残ると言おうとしたが、ユートはそれを丁重にお断りした。
これから“こういう手合い”の者が来る可能性がある以上、対応は基本的に自分が出来なければならないのだ。
彼らの善意は勿論嬉しいが、それに胡座をかくわけには行かない。とユートは思ったのだ。
そうして、後ろ髪を引かれるように転生者達が帰るのを見てから、ユートは言った。
「すまねえな、人払いもせず。信じてもらえるかは分からねえが、俺はお前の敵じゃねえ。それだけは確実だ。とりあえず、冗談半分で俺の話を聞いてみねえか?」
「…冗談に付き合う趣味は無いですが、聞かせてください。僕はどうして、ここに来たんですか?」
その仁の言葉を聞いたユートは、異世界転移者とはどういう経緯で生まれたものかから始め
どういう風に仁が死んだか
異世界転生とは何か
という説明を仁に行った。
ポイント制度や、異能についての説明を終えた後、最後にこう付け加えて
「因みに、お前の考えてることも、今聞いた説明で、お前は今考えてるそれが“不可能な事”であると理解していることも分かる。
その上で聞くぞ、仁くん。
もしその機会があるとしたら
もしその機会を作る力があるとしたら
お前はそれをしたいか?
もっと直接的に言おうか
お前は、あの世界に“復讐”したいか?」
意外なセリフを、ユートは言った。




