1.異世界転移ってなんぞや
新章開幕です
今回一生説明文です。悪しからず
アズモ・エルミナ両名を送り届けた数日後、ユートは早速送られてきた次の転生者の情報を眺めていた。
間田 仁 26歳 男性
元は世界No.000000008926の“現代世界”に居た人間であったが、世界No.000981471195に存在する人族の、“人降しの儀“と言われる術式によって、該当世界への道に引きずり込まれる。
その世界における”邪竜“ ”邪神“ の脅威から人族を守護することに成功。
その後も度重なる人的脅威を退け続け、人類に大きく貢献する。
人類に殺害され、死亡。
この功績のため、1000000ポイントのボーナスを与える。
ポイント:1003200
「またこんなんかよ…」
ユートは、頭を抱えていた。
そもそも、異世界転移とは何か について説明する。
この世界は、各神の力場から生成されている。
そして、その力場にも序列というものがあり、その指標は「どれだけ上にいるか」となっている。
なぜこの様な仕組みになっているかと言うと、力場の総合能力が、そのまま力場の浮力に変換されるからだ。
そして、重力が存在する創造神の作った空間では、所謂「優れた世界」ほど上へ上へと登っていく。
それが自然と“神の序列”として機能しており、言わば一つのバイオームを、大きく強く育てた者を評価するシステムとなっていた。
ある程度の高度まで行けば、その神は世界の神からさらに等級が上の神となることも可能となる。
そんな事情もあったので、“極端な能力変調”を600年の間に行えるユートの転生業に対する見方は、最初の転生から大きく変わった。
ものすごく能力の高い人間の整合性を取るため、世界のパラメータを無理やり調節し、その上で世界の自浄作用までもらえるのだ。
こんな話に乗らない神は今や存在せず、神ながら不謹慎な話だが、ユートの転生対象者を「まだかまだか」と待ち続けている。
少々話がそれてしまったが、これまでの説明を前提として”異世界転移“に話を戻すとする。
異世界転移とは、“転移させたい世界”と、転移したい世界”に、それぞれ極小の穴を開け、力場を強制的に行き来させる能力の総称だ。
所謂“時空に開けた落とし穴”のようなものである。
この能力は、人族が主体で行われることが多いが、決まって“その世界の人間の中では最強”の実力を持ったものが転移してくる。
それはなぜかと言うと、開けた力場から人間を落としている都合上、上にいる世界の人間を原則的に呼ぶことになるからだ。
こうした理由で、世界の“勇者”と呼ばれる者は、この“異世界転移”を使った者になることがままある。
そうして生まれた転移者と呼ばれる者は、基本的にその世界の有力者達にとって、目の上のたんこぶであることが多い。
異なる価値観・思想を持った力を持つ者が煩わしく思わぬ訳がなく、「用事が済めば殺処分できる手筈を整えておいて、要件を達せば“甲斐甲斐しく神官が付けた加護のネックレス“が、”何故か爆ぜて“死んでしまう。」なんて事はさまざまな世界で多く見られた。
そんな理由で、転移したものが召喚者に殺されるなんて言うことは珍しくもなく、更に言えばいつか来るであろうなとユートも思っていた。
更にタチが悪いのは、彼が”100万以上のポイント持ち“である事だった。
100万ポイントで開けられる特典に、こんな者がある
”時渡り“と呼ばれる異能だ。
これは、読んで字の如く、時間を自由に行き来することが出来る能力となっている。
これを使えば、600年前の世界に向かう事が容易に可能となる。
これは何を意味するかと言うと、要するに「復讐」が可能なのだ。
死を自覚せず、対象にとどめを刺した瞬間に体が爆ぜ、確実に生命活動が終わるならば、彼らが”味方に捨てられた“事を自覚する事はなく、復讐など心配する事はない。
しかし、彼らは上位の世界から連れてきた人間である。
体も丈夫で、その世界における”致死量・即死状況”で生き残ってしまう可能性が高いのだ。
そのため、“自分に起きた事” 下手をすると”それまで仲間と思っていた者達の冷ややかな目線“に見送られ、その生を終えるケースが存在するのだ。
それでも、転生というシステムの存在していなかった以前の世界では、特にこれが大きな問題を残す事はなかった。
死人に口無し。というやつである。
だが転生というものが存在するせいで、事情が変わってしまった。
危機のために召喚した”都合のいい男“が、その世界に牙を剥く可能性を孕んでしまったのだ。
では何故神は転移がある世界でも転生を断らないのか。
原則として”転移を実行する種族には有利‘であっても、”神から言えば大迷惑“なのが転移である。
誰がやったかもわからない穴あけの度に、落ちてきた目上に神に謝罪し、種族がその世に存在しなければ、瞬間的に精霊を産まなければならない。
こんな不毛な行為など、ゆるりと準備も出来て謝罪の必要もなく、世界の力まで上がりあまつさえ世界を守る警備システムをタダでもらえる異世界転生とはそもそも比べるまでもなかった。
何なら、転移者が復讐ついでに転移のシステム自体を根絶やしにしろとまで思っているぐらいに。
しかし、そういう形で発展してしまったのも、神の責任であるため、自ら「神の怒り」と称してシステムを砕くなぞ言語道断始末書ものと言った感じで、自分からは干渉も出来ないのであった。
そんな事もあって、ユートはため息を吐いていた。
「なんも分からずに死んだ奴が来たらいいなあ…」
きっと有り得ないであろう願いを、虚空に呟くユートであった。
章わけは例の如く帰ってからやりまーす!




