20.神にとってはエピローグ
二人を無事送り届けたユートは、何時ものように転移先の時間を“20年後”に設定して、メルとアグナとともに酒場へと戻っていた。
「今回もまたすぐ来てくれますかね?」
ユートに、メルが尋ねた。
「まあわからんが、来なきゃそん時はそん時、アイツらには合わなかったってこった。
来てくれれば、勿論嬉しいけどな。」
郁也も何だかんだと毎日通って来ているが、まあ気に入ってくれたなら来てくれたら嬉しい程度のスタンスなので、ユートはそんなに気にしてはいない。
そんな話をしていると、一つの人影が現れた。
「郁也か?」
ユートのその予想は外れ、アズモが一人でこの酒場にやってきた。
「よう、お久しぶり。」
「ああ、久しいなユート。この日を心待ちにしていたぞ。」
そう言って、アズモは席に座った。
飲み物を出して寛いでいる所で、ユートはアズモに切り出した。
「所で、エルミナは一緒じゃないのか?てっきりあの様子からもうデキてるのかとおもってたぞ。」
「その事もあってな、報告しにきたことがある。文字通りデキてしまったのだよ。」
郁也の時のように吹き出すユート
「お前らほんっと手早いのな!」
「まあもう生まれておって、エルミナは子の元を離れられんのだ。そんな訳で今日はその報告がてら、一人で来たと言うわけだ。」
もう生まれてるのかよ…とユートは思いつつ、こんな話題を切り出した。
「簡単な離乳食とかミルクとかは出せるから、今度はエルミナ連れて来てもいいぞ。
お前の嫁さんにもそう伝えといてくれ。」
「助かるぞユート。そう伝えておく。」
そう言って、アズモは外に出ようとした。
出がけにユートの声が響く。
「まあ子供が無事産まれたってことは平和な世界だったんだろうな。良かったじゃねえか。」
「まあ少しいざこざはあったが、それも一月ほどで我とエルミナで解決したのでな。今はもう平和そのものだ。あの世界をこれから余すことなく楽しむつもりであるぞ。」
その言葉を切れ目に、アズモは世界へ帰っていった。
「…出てって30秒であいつらが結婚したとか聴かされるのフツーにつれえ…彼女欲しい…」
ユートは、そんな事をぼやいていた。
「ユートさん!ここにも女性居るじゃないですか!」
ほらほら!とアピールするメル
「なんか部下と同僚と友達の間ーみたいな感じじゃん君ら!てかメルもそんな気ないよね!」
ユートの言に、メルから意外な反応が帰ってきた。
「なんだかんだでユートさんは私達の事を大切に思ってくれてるの、分かりますよ?
この間のアズモさんが酒場焼きそうになった時だって、本気で怒ってくれてましたし。
そう言う所に、女の子は案外弱かったりするんです…よ?」
頰を赤らめながら、そんな事を言うメル
アグナも、そんな話を聞きながら、頰を染めている。
「…え、マジ?」
たしろぐユート
「…マジです!」
「でもね、あの、心の準備が出来てないというか、あの、片方の同僚とくっついちゃったら職場環境とかほら、ね?」
押し続けるメルに、さらにヘタれるユート
「じゃあ両方とくっつけばいいじゃないですか!ね!アグナちゃんもそう思うよね!」
「お前倫理観って言葉100回ぐらい復唱してこいよ」
なぜか赤くなっていたアグナにまで話を振るメル
「いえ、神における倫理観など実はこんなものなのですよ。重婚という形を取っている神も多くいますし。というわけでユート。私たちを貰って下さい。」
アグナにまで言い寄られ、更に狼狽えるユート。
「ううう…おじさんそんな甲斐性ないよぉ…どうせヘタレで童貞なんだよぉ…」
「こないだ童貞じゃないっていってたじゃないですか!ほらカモン!」
「カモンじゃねえよ!ほんとにちょっと待って!確かにちょっといいなって思った事もなんどもあったけど!まさかそんなに好かれてるなんて思わなかったんだよ!心の準備が!」
ユートの思考は、完全にヘタレのそれだった
「なんだ、いいなと思ってくれてたんですね!それならなおさら問題なしです!」
なおも押すことをやめないメル
アグナもすこしずつユートににじり寄っている。
顔を上気させながら。
日本にあったラブコメやライトノベルの主人公はなぜヘタれるのだろう、と生前そんな本を読みながら思っていたユートであったが、その意味が今日少しだけわかった気がした。
現実味がなさすぎて心の整理が付かないのだ。
結果として、物語の彼らのように、ユートはへたれにへたれた。
だがそれもそろそろ落ち着き始めたころ、ユートは強い酒を一気に飲み干して、二人に言った。
「よしじゃあわかった!お前ら二人を同時に貰う!もう決めたからな!後悔すんなよ!」
自棄酒と自棄発言をぶちまけたユート
「じゃあ早速、今夜は寝かせられませんね。火の精霊の娘は、燃え上がるようにあちらも情熱的だということを、今日体に教え込んであげます。」
その言葉で、ユートは少し震えたが、反射的に夜の能力をピックしているユートも何だかんだと期待しているのだった。
「あーもうどうにでもなれや!」
そう言いながら、ユートを含めた三人は三者三様の気持ちで、笑みを浮かべていた。
なんかくっつけちゃったけど
ここまでのことがあったらこんなんなるとおもいますし、時間の問題だろうから早いうちにくっつけようと判断した感じのエピローグでしたとさ。




