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8.勇者と魔王 戦いの結末

勇者魔王の顛末説明回です

エルミナとアズモの説得によって、漸く持ち直したユートは、彼らに何時もの説明をするところから始めた


「あー、なんか情けないところを見せて済まんかった。初対面の人間を慰めるようなことをさせてしまったな。


よし、じゃあこの話終わり!


ってわけで、まず君ら二人の状況から説明させてもらうな。


まず君らは死んでしまった。それは間違いない


んで、この空間は、死んでしまった人間を転生させて、他の世界に送り届けるための空間だ


その際、こちらからあるボーナスを与えることになってる。」


「「ボーナス?」」


二人は、口を揃えてそんな事を言った。


「異能と呼ばれる、俺や郁也の持ってた超常的能力のことだ。


ちなみにさっき、郁也は剣技で君らを圧倒したが、実は魔法のが得意だし、一度見た技をなんでも模倣するって能力も持ってる。」


「滅茶苦茶だな…」


そこから、ユートは郁也にしたのと同じ様な流れで、彼らの受ける「転生」というシステムについての説明を行った。


やはりというか、「同世界の転生」についての説明をした時には、両者ともになんとも言えない顔をしていた。


「あ、そうだ、言い忘れてたわ。

君ら二人の世界が、今どうなったかを簡単にだが教えるな。」


「それは!…我々はユート殿に負けたというのに…」


そう言って、エルミナは少し申し訳なさそうに俯いた。


その姿に、武人としての義理堅さを見たユートだったが、その後こう続けた。


「誰が勝ったら教えるっつったよ。最初から俺は君らに“戦ったら”教えるって言ったさ。


君らが俺に勝てるなんて微塵も思ってなかったからな。」


「…その、かたじけない。」


真剣な目で、エルミナはユートに礼を言った。


なんだかんだと、そう言うアフターケアはちゃんとしているユートなのだった。


〜〜〜〜〜〜


勇者と魔王が争いを繰り広げた結果は、両者の相打ちという形で終わった。


お互いの放った一撃が体を貫き、骨が砕けようとも、彼らはお互いの故郷のため、お互いの民の安穏のために、戦う事を辞めなかった。


それでも先に体に限界が来てしまった二人は、互いの一撃を受け止め、そして、互いの顔を鬼の形相で睨みつけたまま、事切れた。


その姿を確認した各同盟の幹部たちは

「我々は自分たちを守るが為に、彼らのような悲しき定めの者を生み出してしまった。」と気づき、その場で涙した。


互いの幹部たちは、鉢合わせをしたものの、その姿をみて「彼らと戦おう」とは誰も思い立つことが出来なかった。


死してなお睨み合う二人の姿は、皮肉にも彼らの平和の歩みのための一歩として、その効力を発揮したのである。


そしてそのまま各同盟は和平条約を締結。

戦争は終わり、各種族の同盟は、互いに歩み寄ることとなった。


こうして彼らの戦いは伝説となり、神話となり、後の世にも語り継がれることになった。


〜〜〜〜〜〜〜〜


「…とまあ、こんな感じで、向こう600年ぐらいは平和だ。安心してくれ。」


ユートが語り終え、ふと二人に向き直ると、二人の顔は涙で濡れていた。


「私はっ、私の悲願が達成されたってっ しっ ひっぐ やっどっ へい 平和にっ」


「ああ、我々の世界で、もう憎み合いはなくなったのだな。その世界を見られぬのは残念だが…」


そう言いながら泣き続ける二人。エルミナに至っては、もう何を言っているのかわからなかった。


側をちらりと見ると、天使の二人まで泣いていた。


「よがっだでずねぇ〜二人どもぉ〜」

「ああ、本当によがっだぁ〜」


メルもアグナも、話を聞きながら感情移入してしまった様だ。


アグナはいつものごとく酔っ払っていたので、話を聞いているかすら定かではない。


むしろメルが泣いているからなんとなく泣いているまであったが、ユートは敢えてそこに触れなかった。


とりあえず、ユートは皆が泣き止むまでそっとしておくことにした。


〜〜〜〜〜〜〜〜


20分ほど経って、漸く魔王と勇者は落ち着いた


「すまない。みっともない所を見せてしまったな。」


そう言うエルミナに対して、ユートはこう言った


「何がみっともないもんか。君ら二人が目指した平和に感涙して何が悪いってんだ。


この姿を見て「みっともない」なんて言える人間がいるなら、俺が説教してやるよ。


俺には、君らが感じてた想像を絶する重圧とか、責任とか、そういうのを理解できてるわけじゃないが、敢えて言わせてもらうよ


…本当に、お疲れ様。」


そう言うと、エルミナはまた泣いた。


「全くぴーぴー泣きおってからに。本当にこの小娘に我は殺されたのか?


…まあ、だからこそこんな晴れやかな気分になれたのかもしれぬな。」


アズモは、また泣き出したエルミナを見てそう言った。


「さっきまで一緒に泣いてたくせによ」


と、ユートはアズモに悪態をついた


「うるさいわい」


そう言ったアズモの雰囲気からは、先ほどのような殺伐とした刺々しさを感じることはもうなかった。

今回もちょっと短いかな?

まあ思いついたらその場で書いてるからしゃあないと思って下さい。

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