6.プチ反省会
戦闘終了後からです
今回割と内容がダウナーです。
ユートと二人の「激戦」が終わった後、「やりすぎたなぁ…」とぼやいているユートに、郁也は声を掛けた。
「お疲れ様です、ユートさん。相変わらずというか、出鱈目な強さですね…俺も大分強くなって、ユートさんとまともに”超リアルチャンバラ“でもやろうかなと思ってたんですけど…思い上がりだって事がよく分かりました。」
そう言った郁也に、ユートは自嘲気味にこう答えた。
「別に強くなりたくてなった訳じゃねえさ。勝手に力貰っただけだし。
…まあその力に今回も郁也ん時も随分と助けられたんだがな。
それに、転生で異能貰ってるとは言え、郁也がどんだけ鍛えてたかってのはよーくわかったよ。
現に、俺は加減を間違えてあいつら二人を結局殺しちまったしな。
…力に溺れるってのは、こう言う事を言うんだろうな、多分。
良くねえなあ…”俺が思うダメな異世界転生者“そのまんまな事を、今回は怒りに任せてやっちまった。」
郁也は絶対真似すんなよ。とユートは力無く言いながら、蘇生作業を続けた。
「…そんなことは…」
郁也にも、そんなことはない、とは言う事が出来なかった。
事情を知って居ながら、二人を挑発し、殺してしまったユートと
殺しはしなかったとは言え、言い分も聞かずに怒りに任せ二人の四肢を切断し、喉を焼き潰した自分に、そんなことを言えるはずがないと思ったのだ。
言う事を聞かない人間を、力で捩伏せ黙らせる。そうして出来た当人たちの“溝“は、謝罪したところで埋まることはない。
しかし結局は力のないものが声を上げることなど出来ず、半ば恐喝のような関係性を築いてしまう。
こうして出来た関係を完全に“良きもの”にするのは、残念ながら不可能に近いだろう。
正に自分たちは、ユートの言う”ダメな異世界転生者“そのものなのだと、郁也は痛感していた。
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蘇生が終わり、辺りを見回す魔王と勇者の様子を見て、ユートは声を掛けた。
「二人とも目は醒めたか?
…悪いな、状況も飲み込めてないだろうに、そっちの言い分もまともに聞かずいきなりぶっ殺しちまった。
…謝って許してくれるとは思わんが、本当に済まん!」
関係の完全な修復は出来ないだろうが、それでも今は彼らに対する“誠意”が最も重要だとユートは思った。
先ずは謝罪をしなければ、関係を始めることすらできないと思ったのだ。
それに対し、勇者と魔王はこう答えた。
「今も正直状況は飲み込めていないが、この場所と、貴様らの超常と言える力を見て、何故か実感を得ることが出来た。
…我等は、本当に死んだのだな。」
エルミナは、魔王のそんな言葉に続ける。
「…勇者としての責任と、魔王への恨みだけで生きていた私には、今も正直この状況は完全には納得できていない。
…だが、もう戦いは終わってしまったのだな。」
そんな事を話す二人の目は、酷く疲れていたが、同時に、仄かな安穏の色を帯びている様に、ユートには見えた。
そしてエルミナは更に続けた。
「教えてくれ、ユート殿。私達は一体これからどうなるのかを」
そう言うと、新たな光を宿した目で、エルミナはユートをじっと見つめていた。
本物の勇者とは、こう言う人を言うんだろうな。と、ユートと郁也は思った。
「そうだな、終わってしまった事をいつまでも悔やみ引きずっても仕方がない。
それに我の誇りや矜持など、今更意味を持たぬ事も分かった。
ユートとやら、我にも教えてくれ。我らは一体何をすれば良いかを。」
ある意味一回心をへし折って正解だったのかなと一瞬ユートは思ったが、その考えを頭から掻き消して、ユートは答えた。
「そうだな、まずあそこで酒でも飲みながら、お前らのこれからの事を考えようぜ。」
そう言って、ユートは二人を促しながら、酒場の方へ歩いて行った。
転生者が抱える苦悩みたいなものを描きたかったんですが、中々難しく、うまく出来ているかどうかがだーいぶ疑問な回となってしまいました。小説って難しい




