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描いて読んで  作者: ネコ雲


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9/11

絶望


 「さぁー春香さん、ココを格好いいスキルにするっす」

 大罪の主の原作を描いているのだが、美心ちゃんが朝からずっとこんな感じで鬱陶しい。

 もともとココをそんな酷い扱いをするつもりではなかったので、わかったよとだけ返しておく。


 ようやく静かになり仕事に集中してくれている。美心ちゃんも集中して仕事をしてくれれば、絵も上手いし、早いしで文句ないのになと思う春香だった。

 九話の話しが出来たらから読み直してみるか。


◇◇◇◇◇


 私のスキル達がうるさい、孤児院への帰り道ずっとあーだこーだ言ってくる。

「スズ何かスキルを授かってから、疲れた様子っすね」

「そうなの、スキルがうるさくて」

「それならスキルの発動とめたらいいっすよ」

「その手があった」

 スキルを授かってからうるさかったので忘れていた。スキルと言うのは常時発動している訳ではないのでオン、オフが切り替えれるのであった。

 なのでとりあえずオフにしておく。

 

 孤児院に帰りつき、クルミが出迎えてくれた。

「二人ともおかえり、どうだった?」

「私のスキルは良くわからないや」

「私のスキルはなかなか良かったっすよ」

 二人の感想をきいたが、スズが微妙そうなのでクルミも喜んでいいのかわからず苦笑いだ。


 この世界ではスキルとは、神からの贈り物で、力は皆平等である。力をひけらかす事非ずと言われる教えがある。

 なので、暗黙の了解で人のスキルを聞く事もしなければ教える事もしないが、大抵の場合付き合いが長ければその人のスキルが何なのかわかってくる。

 そのくらいスキルについては世間に広まっているのだ。 だから私のこのスキルは異質だ。


 帰ってきてしばらくたったら夜ご飯の時間になった、今日はシスターがスキルを授かったお祝いをしてくれるので、ご飯がいつもより豪勢だ。


 皆で食べようとした時、扉が激しく叩かれる、大声でシスターを呼ぶ声が聞こえる。あの声はシスターに気がある冒険者の男性だ、あれから何回も来ているのに、いまだに進展なしだ。

 そんな事を考えている場合ではなさそうだ。

 シスターが駆け寄って扉を開ける。

「シスター逃げろ、騎士の連中がここにくるぞ」

 冒険者は必死の形相で伝えてくるが、騎士が何をしにくるかわからず話しが見えてこない。

「騎士達はこの孤児院を国家への反逆の疑いで皆殺しにするつもりだ」

 シスターは驚きすぎて声がでない。


 その時後ろから声が聞こえきた。後ろ見ると騎士達と男性冒険者の仲間二人が縛られて引き摺られている。

「孤児院に住む薄汚れたクズども、貴様らは国家への反逆罪で処刑が決まった、後この冒険者達もだ」

「私達が何をしたと言うのですか」

 シスターが必死に弁明しようとするが、騎士達はニヤニヤと笑ってばかりで答えようとしない。


 「この反逆者共を皆殺しにして火をつけるのだ」

 一斉に火矢が孤児院に射られ、騎士達が剣を片手に遅いかかってくる。

「そこの女冒険者と、女の子供四人は生け捕りにしろ、後で売って金にする」

 騎士達の指揮官らしき男が気持ち悪い笑みを浮かべる。

 皆逃げろと冒険者の男性の声で、一斉に裏の畑の方へ皆が走る。

「無駄だ、辺り一帯包囲している」

 指揮官の言葉通り畑も囲われており、逃げ場がない、シスターを庇った冒険者が斬られ、シスターも後ろから刺され、男の子達もどんどん斬られていく。

 逃げ場がなく立ちすくむスズとクルミとココ、辺りを見回してチハルがいない事に気付く。

 三人は抵抗したが、鍛えられた騎士に敵うはずもなく、捕まってしまった。

 捕まった三人は引き摺られ指揮官の元に連れていかれる。

「おい、後もう一人の女は何処だ」

「男を庇った所を一緒に刺してしまいました」

「そうか、まあ一人ぐらい良いだろう」

 気持ち悪い笑みを浮かべる。

 スズが周りを見渡すと、皆が倒れていた、チハルも男の子と一緒に串刺しにされ倒れている。冒険者の男性二人も刺されて倒れている。女冒険者は抵抗したのか、ボコボコに殴られ気絶している。

 孤児院も燃やされ、畑も燃やされている。倒れている孤児院の皆と冒険者達は、燃える孤児院の中に放りこまれている。


 三人はその様子を見て声にならない悲鳴をあげた。

「なんでこんな事するの、私達が何したの、私から大事な人を奪わないで」

 スズが必死な形相で、指揮官に食って掛かるが、男は涼しい顔をして

「お前達が孤児院のくせして、贅沢しているのが気に入らないんだよ、それとな何やらこの孤児院に不吉なスキルを授かったやつがいるらしくてな、そういう訳で皆殺しだ」

 あまりの理不尽な理由にスズが指揮官に飛びかかろうとするが、逆に鳩尾を蹴られ倒れこむ。

(もの凄く痛い、けど赦せない赦せないあいつら皆殺してやる、スキルよ力を貸して)

(嫌だね)

 脳内に嘲笑うかのようなスキルの声だけが響く。


◇◇◇◇◇


 「うん、なかなか良い絶望ぐわいじゃないかな」

春香は原作を読み終わり、自画自賛をしている。

「春香先生どんな話しか読ませて下さい」

「読んでみて」

咲希ちゃんにも読んでもらう。

 「春香さん、なかなか良い絶望ぐわいってどんな性格悪い話し描いたっすか」

 「ココも皆死んじゃうの」

 「酷いっす春香さん」

 「うそだよ半分だけね」

 美心にいたずらな笑みを浮かべる春香であった。


 

九話目まで読んでいただいた方いましたらありがとうございます。他にも二作品ファミリアフレンズと次元の壁の優社君を投稿しています。良ければそちらもよろしくお願いします。

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