孤児院と町の皆
「今日の美心ちゃん、気持ち悪いぐらい静ですね」
「そうだね、気持ち悪いぐらい静だね」
「春香さんはいつもの事っすけど、咲希ちゃんまでそれは酷いっすよ」
「私はそうやって元気づけようと思ってね」
「春香さん元気づけるならもっと他に良いやり方があると思うっす」
「美心ちゃんホント元気ないけどどうしたの?大丈夫?」
「咲希ちゃんは春香さんと違って優しいっすね、咲希ちゃん私の話しを聞いてくれる?」
「うん」
「実は私太ったっす」
「春香先生十話の原作見せて下さい」
「はいどうぞ」
「ちょっと待ってほしいっす。一大事すっよ、二人共無視は酷いっす」
◇◇◇◇◇
スキルも発動しない、孤児院の皆も死んだ。私とココとクルミと冒険者のお姉さんも奴隷商に売られる。私は絶望で目の前が真っ白になった。
抵抗しないように痛めつけられ、首に鎖をつけられ私達は罪人のように町まで連れていかれた。
ボロボロな私達を見てあんだけ優しかった町の人達も目を逸らす。
誰か助けてと泣き叫んでも、誰も助けてくれず、殴られるだけ。
さぁ~着いたぞ、精々良い奴に買って貰えるといいなと、笑いながら男達が言う。
騎士の一人が、商館の扉をノックした。すると中から小太りの男が出てきた。
「何の用ですか、こんな時間に」
「こいつらを買い取って貰おう」
騎士の一人が私達四人を、小太りの男、奴隷商の前に引っ張りだす。奴隷商の男は私達を見て目を見開き、一瞬悔しそうな表情を見せた気がした。
「そうだな、一人二十万デシルって所だな」
デシルとはこの大陸の共通通貨であり、二十万デシルは若い連中の一か月分の給料ぐらいだ。
「少し安くないか」
「孤児院の子供なんてそのくらいの価値さ」
「ちっ、飲み代ぐらいにはなるか」
男達の交渉が終わり、奴隷商に引き渡された。
足枷も手錠もされていないので、騎士達が居なくなったら逃げだそうと思った。
「お嬢ちゃん達しばらく大人しくしておくんだ」
奴隷商のおじさんが悲しい気な表情を浮かべている事に気付く。私達のこれからを哀れに思っているのだろうか。
騎士達の姿が見えなくなると、町の皆が駆け寄ってきた。首についている鎖も外された。
町の皆が泣きながらごめんねと謝ってくる。
私達は訳もわからず、困惑していると奴隷商のおじさんが説明してくれた。
「町の皆もお嬢ちゃん達を助けたかったけど、騎士に手出しする事が出来ない、だから見て見ぬふりをするしかなかったごめんよ、それで孤児院で何があったんだ」
孤児院で起きた事を町の人に全て話した。すると奴隷商のおじさんを含めた町の人が涙を流しはじめた。
「この町にはな、あの孤児院出身のやつも多いんだよ、俺もそうだ、孤児院出身じゃなくてもお世話になったやつも多いんだよ」
涙ながらに奴隷商のおじさんが話してくれる。
「お嬢ちゃん達悪かったな安く買うためとはいえ孤児院の子供なんてと酷い事言って」
スズも涙を流しながらうんうんと首を横にふり、ありがとうって伝えた、他の三人もそれに続いてそれぞれお礼を言う。
「すまんな、俺達には逃がしてあげる事しか出来ない」
「それだけで十分です。この恩は必ず返します」
「まだ小さいのに立派なもんだ、それでこれからどうするつもりだ」
奴隷商のおじさんに聞かれた時、後ろから懐かしい声が聞こえた。
「スズ無事だったか、孤児院に行ったら燃えてたから心配したぞ」
そう声をかけてくれたのは、アランさんだった。
◇◇◇◇◇
「ついに物語が動きだすんですね」
「うん、孤児院編は終了って所かな」
「二人だけで盛り上がらないで私にも見せて下さいっすよ」
寂しそうな表情をした美心ちゃんが話しに入ってくる。
「美心ちゃん落ち込んでないでしっかり仕事してね」
春香が仕事が全然捗っていない美心に釘をさしておく。
「わかったっす春香さん」
反省しているのか少ししょんぼり気味の美心だった。
ここまで読んで頂きありがとうございます。他にも二作品投稿してますので、そちらも見ていただければ嬉しいです。




