お酒はほどほどに
「さぁ~春香さん、今日は十話まで原稿が上がった記念で飲むっすよ」
「何よその記念」
春香達がこれから飲み始めるのかと思いきや、先程から新しいビールがくるたびに、何かしら理由をつけて乾杯をしており、これで五回目の乾杯である。
春香が美心に少し呆れながらも、美心が嬉しそうにしているのでそれでいいかと思い、ジョッキを持ち乾杯した。
今日飲みに来たのも美心がたまにはパッと飲んで、美味しい物が食べたいと言い出したのだ。
春香も日頃頑張ってくれている皆への労いとして行くかと思った。ちなみに今日は焼き鳥屋である。
焼き鳥屋は咲希の提案だったが、美心は洋食系の居酒屋がいいと譲らなかった。
最終的には咲希の
「日頃私達に迷惑かけてるよね」
と言う言葉で決まった。
美心は上機嫌に五杯目を飲んでおり、既にベロンベロンに酔っ払っている。春香と咲希も同じ量飲んでいるが、至って平気そうだ。
「美心ちゃん、明日使いものにならなさそうですね」
「まぁ~明日ぐらいは許してあげよっかな」
二時間程飲み食いして、お腹も一杯になったので帰る事にした。
「春香先生ご馳走様でした」
「春香しゃん、ありゃがとっす」
二人共、春香にお礼を言ってるが、美心の呂律が回ってない様子だ。
酔っ払った美心は足下がおぼつかず、春香に背負って貰っている。
もう飲み過ぎるからと呆れる咲希であった。
次の日予想通り二日酔いで使いものにならない美心をよそに、二人は大罪の主十一話に取りかかるのだった。
◇◇◇◇◇
スズが後ろを振り返るとアランとユウが立っており、スズは二人にかけよりユウに飛びついた。
アランが腕を拡げてスズを向かえたが、スズがユウに飛びつきしょんぼりしていたのは内緒だ。
「スズ何があったの」
泣いているスズを見て優しくユウが問いかける。
「孤児院が孤児院が」
辛くて悲しく、次の言葉が出てこないスズ。
「アラン、ユウ代わりに俺が話そう」
奴隷商のおじさんが名乗り出てきた。どうやら二人と知り合いみたいだ。
孤児院に何があったのか、全て話してくれた。
それを聞いた、アランとユウも悲しさと悔しさを、滲ませた。
「クソ、もう少し俺らが早く着いていれば」
地面を殴り涙を流すアラン。
「まさかアランとこのお嬢ちゃんが知り合いとはな」
「孤児院にスズを預けたのは俺達だからな」
全く状況が飲み込めず、どういう事か教えてくれと言う顔を作っていたら、それに気づいたユウが説明してくれた。
「私とアランとドイルと傭兵団の多くがあの孤児院出身なの」
奴隷商のおじさんはドイルと言うらしい。
それより驚きなのが、アランさん達も孤児院出身だった事だ。だからあの孤児院に預けてくれて、こんなにも悲しみ悔やんでいるのだとわかった。
「アランさん私孤児院の皆を殺した奴らが許せないです」
同じ孤児院出身なら復讐に力を貸してくれるという打算もありながら、アランに言ってみた。
「俺も許せないが、国が相手だ、まずは総力の底上げが必要だな」
「なら私を傭兵団に入れて鍛えて下さい」
「勿論だ、今日はそのつもりで向かえにきたんだ」
「五年前の約束覚えていてくれたんですね」
「スズに別れ際念を押されたからな」
そんな感じで話しをしていると、クルミとココが話しに入ってきた。
「私も傭兵団に入れて下さい。あいつらが許せないです」
「私も入れてほしいっす」
二人がアランに真剣な目を向けお願いをしている。
「辛くて過酷な道だぞ、それでもいいのか?」
「はい」
二人共力強く頷いた。
◇◇◇◇◇
「十一話も良い感じですけど、もうそろそろバトルシーンほしいですよね」
「やっぱり咲希ちゃんもそう思うか、考えてみるね」
「私はこれをネームにしますね」
「おねがい」
美心は終始顔色が悪く、机とトイレを往復していた。




