たまには私が勝ちたいっす
「今日も暑いっすね」
美心がTシャツ短パンでダラーっとしている、咲希も同じような格好だがこちらは品があるように見える。
「美心ちゃんそんな格好じゃ愛しの彼氏に振られちゃうよ」
からかい半分で声をかけてみる春香。
「大丈夫っす、彼氏私の事大好きなんで」
惚気がかえってきて春香は思わず舌打ちをしてしまった。
「春香さん今舌打ちしたっすよね」
「さぁ~仕事仕事」
誤魔化すように仕事を始める春香であった。
◇◇◇◇◇
三人はあの後孤児院に戻りシスターに謝りに行き、家出したココは勿論、スズとクルミも夜に無断で外出したという事でたっぷりと怒られたのだった。シスターも心配してたのだろう、最後には泣きながら三人を抱きしめていた。
スズはそんなシスターを見て暖かい気持ちになった。
それから一週間経った頃孤児院を卒業した、男二人と女一人の冒険者が訪ねきた。
外から男性冒険者が大きい声で呼んでいる。
「おーいシスター肉持ってきたよ」
その声を聞き中からシスターと子供達が出てくる。
「あらー大きな猪ね」
シスターが猪を見て嬉しそうな声をあげる。
子供達も嬉しそうに騒いでいる。
冒険者も子供達の反応が嬉しいのか笑顔を浮かべている。
ちょうどお昼時だったので、シスターにお昼ご飯を勧められ冒険者三人も一緒に食べるようだ。
冒険者達は久しぶりのシスターのご飯だと喜んでいる。これは狙ってきたなとスズは思ったがわざわざ言う事でもないので黙っている。
彼らの話しを聞いていると、彼らが八歳の時にシスターが来たらしく、孤児院を卒業する十五歳までお世話になっていたそうだ。
冒険者の話しを聞きながら三人を観察していると、男の内の一人がシスターをチラチラ見ている。
スズとクルミが自然と目が合いニタっと笑みを浮かべた、ココはご飯に夢中のようだ。
昼ご飯を食べ終わり、冒険者達が猪の捌き方を教えてくれるらしい、予行練習として毎回丸のまんま持ってくるそうだ。
冒険者が丁寧に猪の捌き方を教えてくれているが、スズとクルミは違う事に夢中だ。
「クルミやっぱりあの人シスターの事チラチラ見てるよね」
「やっぱりそうだよね」
「猪は口実でシスターの手料理とシスターに会うためにきたんだよ」
「シスターも罪な女性だね」
スズとクルミが後ろの方で盛り上がっていると、ゴツンと後ろから拳骨が落ちてきた。
二人が後ろを振り返ると、角を生やしたシスターが立っているではないか。それを見て思わずスズが
「シスターいつから角を生やしたんですか?」
ふたたびスズに拳骨が落ち、思わずスズはしゃがみこむ
「角なんか生やしてません、そんな事よりしっかり捌き方を見ていなさい」
シスターに怒られてしまった。女の子は猪より恋ばなの方が好きなのだからしょうがないのだ。
シスターも良い歳なんだから好きな人がいてもおかしくないよねとクルミと小さな声で話しながらシスターを見てると、少し顔が紅いような気がしないでもない。
「ねぇクルミもしかしたらシスターも満更でもないんじゃ」
「私もそう思う」
そんな二人が恋ばなに華を咲かせている内に猪は捌き終わったみたいだ。
◇◇◇◇◇
七話目のネームを読み終わり美心がニヤニヤしながら春香の所にやってくる。
「春香さんも恋したいんっすね」
「そうだよ、悪いか」
「漫画に願望がでてるっすね」
美心が勝ち誇った顔をして悔しそうにしている春香を見ている。
「春香先生は漫画恋人だからいいんです」
何か悲しいフォローを入れてくれる咲希であった。




