美心ちゃん拗ねる
三話目の原作を読んでいる咲希。
「わかりました。三話目からネームを描いたらいいんですね」
「咲希ちゃんお願いね、新しいキャラデザは出来ているから」
「わかりました」
横で覗いてた美心が話しに入ってくる。
「このキャラ私と咲希ちゃんに似てないっすか?」
「二人を参考にしたからね」
「ヤッタっす!春香さんが私を書いてくれるなんて嬉しいっす」
「うん、途中で消すのに美心ちゃんのキャラがちょうどいいと思ってね」
「私消されるすっか?」
あえて深刻そうな顔を作る春香と真に受けてショックを受ける美心であった。
「とりあえず美心ちゃんも読んで見てよ」
「わかったっす」
◇◇◇◇◇
アランさん達が去り、シスター達の方を見て改めて挨拶をするスズ。
「はじめましてスズと言います。今日からよろしくお願いします。」
見るからに優しそうなシスター、見た目はあの男装エルフに似ているだろうか?
エルフではなくて人間だが、しかも胸には母性が溢れている。
「はじめましてスズちゃん私はここのシスターをやっているアンナよ、よろしくね」
シスターの後ろに私と同じくらいの年の女の子が二人いる。
「私はココよろしくっす」
「私はクルミよろしくね」
この二人が美心と咲希を参考にして作ったキャラだ。
シスターから家の中にも他に六人の子供がいると言われた。男の子が五人に女の子が一人
全員私より歳上みたいだ。
ココとクルミの年齢を聞いてみると、ココは同じ歳の五歳、クルミは六歳だった。
家の中に案内された。
外から見たら、普通の二階建ての一軒家に見えた。中に入ると一階に皆でご飯を食べるようのスペースと、シスターの部屋があり、二階に上がると男の子用の雑魚寝部屋と女の子用の雑魚寝部屋がある。
家の裏には、トマトやじゃがいもを植えている畑があった。
孤児院では皆が、食事、洗濯、掃除、畑のお世話など当番制で仕事をしているらしい。
仕事等は昼過ぎに終わり、それからは自由時間らしい。
夜は皆でご飯を食べる、質素な食事をイメージしていたが、パンに野菜にスープがある。
充分な食事だ、それにシスターの料理も美味しく、今日はクルミも料理の手伝いをしていた。
他愛ない話しをしながら皆とご飯を食べる、
何らかの理由で親と離れ離れになっただろうに、そんな様子を微塵も感じさせない。
そんな様子をみて私も明るく生きようと思う。
昨日の夜ご飯の時にシスターから言われ、ココとクルミと一緒に仕事をする事になった。
今日は畑仕事をする当番だ。水をやり雑草を抜いて野菜を収穫する。
意外な事にクルミが案外力持ちだった事に驚いた。重たいジョウロを持ってテキパキと水をやっていく。
ココは野菜に向かって、大きくなったっすね、私が美味しく食べてあげるっすとか、話しかけている。顔が気持ち悪いから無視をしておこうと私は決めた。
そんな事を思いながらも畑仕事がようやく終わりお昼ご飯だ。この世界では、貴族や一部の裕福な家庭でしか、一日三食食べる事が出来ない。それなのに孤児院では一日三食食べられる。とても嬉しい事だ。
アランさん達が助けてくれなかったら私は死んでいた、寝る所があってご飯が食べられる。心の底からアランさん達とシスターには感謝だ。
ご飯を食べ終われば自由時間だ、皆に何をするのか聞いてみれば、木の枝で素振りをするらしい。
理由を聞いてみると皆冒険者を目指していると言われた。何もない自分達がお金を稼いで独り立ちするにはこれが一番だそうだ。
実際にこの孤児院から独り立ちして冒険者をやっている人も多い。そういう人達がお金も寄付してくれたり、たまに獲物を狩って持ってきてくれるらしい。
他にも孤児院から独り立ちをした人の中には、料理人や大工、傭兵など様々な職に就いている人がいる。
この孤児院はだいぶ古くからあり、独り立ちした人数も結構いるらしく、五代目のシスターも全員は把握しきれていないので、知らない人から寄付がくる事もある。
そんな感じで、皆が少しずつ寄付してくれるので結構な額になるらしい。勿論余ったお金は何かあった時の為に貯蓄している。
本来なら領主からも寄付があるらしいが、それは断っているそうだ。
そんな話しを聞いて私は名も知らない人に感謝し、いずれは私もこの孤児院の助けになれるよう頑張ろうと思った。
そんな話しをココとクルミから聞いている内に他の皆は素振りを初めている。
私も五年後アランさん達に付いて行く為に強くなる必要がある。なので私も混ざって素振りをする事にした。
三十回も出来ない、私は貧弱だ。その横でクルミは風を切る音をだしている。
ココも素振りをしているが、私より少し出来る程度だ。
◇◇◇◇◇
美心ちゃんが三話目を読み終わったみたいだ。
「いつも思うっすけど、咲希ちゃんはどうしてこの原作をネームに出来るっすか?今回なんて、ト書きばかりじゃないっすか、否ト書きですらない、只の説明書きじゃないっすか」
美心が眉間にシワを寄せ不思議そうな表情をしている。
「ホントこれをネームに出来る咲希ちゃんは凄いよね」
「私は先生と感性が似ているから、先生が描きたい絵が思い浮かぶの」
「流石咲希ちゃん」
二人で楽しそうに、そうだよねーと頷き合う二人。
「私だけ疎外感凄いっすよ」
一人仲間外れで文句を言う美心。
「しょうがないよ、美心ちゃんじゃ私の原作ネームに出来ないんだから」
「春香さんそこ強調するのイヤらしいっす」
横目でニタリと笑いながら言う春香にたいして、不機嫌そうにプイッと横を向く美心であった。




