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河童様  作者: なぁ恋
河童の薬
8/70

短めですm(_ _)m


黒猫?


その姿は大人よりも大きく、後ろ足で立ち上がって上半身の肩の筋肉が広がる。

しっぽが二股に裂けうねり、地面を叩く音が異様に響く。



何が起きているのか理解出来ない。


黒猫の口が耳元まで裂け、覗く牙の間から零れ落ちた長く赤い舌。



「「河童よ。治す事が出来るのはお前が作る薬のみ……」」



話している内に黒猫の顔が―――左側の耳から首元までがどろりと溶け落ちた!


「うわあぁあ!!」



理解出来ない!!

何が起こっているのか解らない!

  

肩を掴まれその伸びた爪が食い込み肉を破る。


痛いよ!


「「河童よ。薬を寄越せ!」」


河童様?

「彼ならまだ学校にっ……!」


長い舌で頬を舐められて。「ひゃあっ」なさけない声が出る。


「「時間が……ないんだ。早く治せ!」」


「僕には治せません!

すみません」


肩を掴む左手が溶けて体に掛かる。


「「助けて欲しいんだ!

死にたくないんだ」」


黒猫の黄色い右目から涙が流れる。


“死にたくない”


その思いは解る。



死にたくない。


僕もあの時、“最期”の時そう思った。


「僕は河童様じゃないけど……河童様なら知ってる。だから、落ち着いて」


出来るだけ静かに脅かさない様に話しかける。


「「河童じゃない? いや。お前からは真水の匂いがする。

河童意外にありえない!」」


肩を掴んだ手に力が入り、痛みが増す。


「あぅっ!」


「「早く……出せ! 薬を!」」


痛みで声も出せなくなる。

助けてやりたいのに、助けられない。


熱を持った左目から涙が零れる。

留まる事のない涙が黒猫の手に落ちて。すると、深い溜め息を吐いた黒猫が、

「「ありがたい」」と、目を細めた。


何が起きたのか解らない。


河童様。

―――河童様!



朗!



「ろ……う!」


思わず呼んでいた。

朗。と。






「何をしている?」


背後から聞こえて来た声。河童様の声。


「朗……」


声のする方を涙が流れ続ける左目で見る。


「私の許可なく私のものに触れるなど……許せないな」


力強いその声色が頼もしくて。心が落ち着いた。


助けてくれる。その確信で安心出来て、涙が止まった。


「「河童よぉ! まだだ。まだ足りない」」


「あぁっ!」

黒猫の爪がさらに深く肉をえぐった。

  













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