9
無意識にゆうつきの体を撫でると、彼女が小さく呻き身動ぐ。
その為か、背中から抱き締めて居たのが寝返りを打ち、向かい合わせになった。
すると、余計に体の違いに気付かされる。
「……ん。」
声を上げ、うっすらと目を開けた。
「ろ……う?」
名を呼ばれ、胸が疼く。
「夢? かしら?」
微笑みを浮かべたゆうつきは、とても素敵だ。
「夢ではないよ」
脅かさない様にそっと答えた。
「私は……」
考える素振りに、黙って見守る。
「―――死んだ?」
これには頭を振り否定する。
「なら、何故あなたが居るの?」
不思議そうにこちらを見る。
「ゆうつきを助ける為、境界線を越えて来た」
「境界線?」
「冥界から人界へ」
ゆうつきが体を起こす。
すると、露になった二つの膨らみに目が行った。
その視線に気付いたゆうつきが自分の体を見て「きゃっ」と腕で隠す。
「な、何で裸?」
真っ赤な顔で呟く様に訊いた。
「寒さで体が凍えて居たから」
これに考える様に頭を傾げて、一瞬で苦痛の顔に変わった。
「私……人柱で……私……とんでもない事をしたんじゃ……!?」
首を振りながら涙が零れだし、
「人柱が居なくなれば、龍神の罰が下る」
蒼白に変わる顔色。
実際にはその様な事は起こらない筈であった。
....
だが、私がこちら側に来た事でないとも言い切れなくなった。
... ......
何かの、何者かの意思が働いた感じがしたが、それをやめようとは思わなかった。
震えるゆうつきを抱き締める。
頭から背中を撫で、安心させる様に声を掛けた。
「心配するな」
そう。私にとって大事なのはゆうつきだけだ。
知ったばかりの想いは甘く、痺れる様な興奮が頭を、体を支配する。
ゆうつきを上向かせ、桃色に色付いた唇に己のそれを重ねた。
すぐに離すと、ゆうつきが驚いて目を見張る。
「何を?」
止める気はなかった。
頭の中で呟く誰かの声に従って、事を始める。
それは性急で優しくもなかった。
訳が判らない内に、その波に呑まれる。
それはゆうつきも同じで何の抵抗もせず。だが、少しの疑問を浮かべた瞳は静かに閉じて、運命を受け入れた様な溜め息と吐息を吐いた。
外の世界の壊れる音は、絶えず聞こえて居た。
―――それを正すのは壊した者達の役目。
誰かが、呟いた。
それは長く続く贖罪の始まり。




