表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/23

07「無智な小鳥」

07「無智むちな小鳥」


初夏しょかから梅雨つゆえ、季節は真夏まなつへと変化していく

私は、一日中降り続く雨の日以外

温室の屋根の上にかさず、舞い降りている


それもこれもプティラ兄が・・・

私の行動を容認ようにんする「事情じじょうを知らない姉貴達あねきたち」や

私を過剰かじょうに心配する兄貴達あにきたち好奇心こうきしんで訊いて来るだけの兄貴達にも

「私が何処どこへ行っているか」を絶対に言わず

誰にもげず…おしえずにいてくれているからである


プティラ兄は・・・

無理強むりじいしても無駄むだじゃないのか?

めたら内緒ないしょだまって一人で行ってしまうだけだろ?』と

い役として一緒に、本来なら来てはイケナイ城へと

皆には内緒ないしょで、付き添って来てくれている


私はプティラ兄の手の中で、手に入れた自由に喜び

プティラ兄に感謝しながら、その自由を満喫まんきつしていた。


そんな、自由を手に入れた私の・・・

『大好きになった王子様に会いに行って来る!』宣言せんげんの日から

私には、どうしても気になる事がある


私があの宣言をした日・・・

プティラ兄は後から私を追掛おいかけて来て、私を押し退け…

プティラ王子様に対して『やっぱり、お前だったのか…』と

今まで見た事が無いくらい、つらそうな表情を見せたのだ


だけど今、あの日の翌日からは・・・

それをのぞかせるどころか、それ以来…プティラ兄は、それ以前の問題で

御城の城内の高い木の上までしか来ず

黙って静かに遠くから、私を見守ってくれているだけである


プティラ王子様もプティラ兄を見て

あの時だけは、同じくらい辛そうな表情をしていた。


プティラ兄とプティラ王子様は・・・

明らかに、ずっと以前から面識があるみたいだけど

プティラ兄もプティラ王子様も…私に何も教えてはくれない


なぞだし…不思議ふしぎだし…すっごく気にもなるけど


無理に訊き出そうとして・・・

プティラ兄に「もう、来ちゃ駄目!」って、言われるのも

プティラ王子様に「もう、来るな!」って、言われるのも嫌で

私はたずねる事ができないままだった。


訊ねる事が出来ないまま…

だる様な暑さが、夜にも続く時期に突入し

何時いつころからか、森の中で仲間が消える事件が多発し出していた


時を同じくして、同じ種族同士の違う一座同士・・・

仲間をまもためみなを護る為の巡回じゅんかいを持ち回りでするようになり

プティラ兄が、私を城へとおくむかえはしても…

プティラ兄が、ずっと一緒にいる事が少なくなっていく


私はプティラ兄に『うろうろすると、ぎゃくに危険だから』と

プティラ王子様の仕事の時間も温室の上でごす様になった。


その日は、たまたま

プティラ兄が見回りと、その事件についての一族会議に出る為

私は一人で、何時もの様にプティラ王子様の所に来ていた


何か特別な事があるわけではないのに、ゆったりとした幸せな時間

プティラ王子様が仕事で、王様に呼び出された後も

私は温室の屋根の上で、今の幸せにひた

小さな声で今の小さな幸せをメロディーに乗せて歌っていた。


ただし今日は、プティラ王子様が王様の所に行ったのに

ルスキニア王子様とタルシゲル王子様が戻って来ない

私はその事を深く考える事無く、歌い続ける


私が1人で歌っていると・・・

光の加減かげんみどりにも見える群青色ぐんじょういろを身にまと大柄おおがらな者が

温室の中から私に声を掛けてきた


プティラ王子様・ルスキニア王子様・タルシゲル王子様以外の

王子様登場おうじさまとうじょうに私は心底驚しんそこおどろいたけど、私は何も考えずに受け入れ

会話をはずませる。


この城で、一番年上の王子だと言う「エウリュストムス」は

物知ものしりで、城の中の事だけでなく外の事も何でも良く知っていた


みずうみの近くの廃村はいそんの奥に

美味しい木の実が生る果樹園かじゅえんがあるのは知っているかい?』

私が首をよこに振ると、エウリュストムス王子様は微笑ほほえ


『私達は此処ここから出る事はできないんだ

良かったら、その果樹園から木の実を取って来てくれないかな?

私は勿論もちろん、プティラもルスキニアもタルシゲルも…

皆、そこにある木の実が大好物なんだよ』


一瞬いっしゅん、プティラ兄の・・・

大人おとなしく、そこにいろよ』と、言う言葉を思い出したけど


丁度ちょうど、私も咽喉のどかわいていたし…ことわる大きな理由も無かったので

私はまよう事無く『それじゃ、今から取りに行って来るよ!』と

何時いつも通りのルートを通って城をあとにする。


私はエウリュストムス王子様に言われた通り、桟橋さんばしを探し

湖にけられた古い桟橋をにして、森に分け入り

意外と簡単に、廃村を見付ける事に成功した


『毎年、この近くまで来てるのに知らなかったぁ~…

こんな場所に、人間が住んでた場所があったんだ』と

私はひとり言を言って、物見遊山ものみゆさんで廃村を散策さんさくする


重さで倒壊とうかいしたのであろう瓦屋根かわらやねの家

屋根の落ちくずれた藁葺わらぶき茅葺かやぶきの家はまだ、家の輪郭りんかくが残り

場所によっては、家の中を見て回れる物件もあった。


一頻ひとしきり好奇心こうきしんたした私は

廃村の奥にあると言う果樹園へ向かう事にする


廃村の中では、草木がしげっていて少し迷ったけど

プティラ王子様に似た歌声にみちびかれて、目印めじるしを見付け

エウリュストムス王子様に言われた通り

崩れていない瓦屋根のくらの横を通り抜け、果樹園に入る事ができた。


廃村の中とは打って変わり、果樹園は綺麗きれいだった

下草したくさやわらかく、木陰こかげ御昼寝おひるねするのに良さ気で

木から収穫しゅうかくし、私が口にした木の実は本当に美味おいしい


私は木の実で咽喉をうるお

「急ぐ事もないだろう」と、好奇心のままに・・・

先程さきほどから聞こえてきている歌声の在処ありかを探して回る


遠くから『そっちに行っては駄目だめだ!キャノメラナ!』と

兄貴達の声が聞こえた気がした

『来るな!』と、言うプティラ王子様の声も聞えた気がしたけど

ときすでおそく・・・

私の体は空中にい付けられ、のがれるすべを失ってしまっていた。


私のモノでない、さけびが木霊こだまする

『逃げろ!逃げてくれ!』と、悲痛な叫びが複数

わなに掛かった私に向けて、何処どこからともなく聞こえて来ていた


それとは別に、私に向かって踏締ふみしめる様な足音が近付く

大瑠璃おおるり何処どこ絶滅危惧種ぜつめつきぐしゅだ?

たしかに昔よりれにくくはなった気がするけど…まだ、こんなに

簡単かんたんに捕れるじゃないか…

鳥獣保護法ちょうじゅうほごほう愛玩飼育禁止あいがんしいくきんしでの値上がり大歓迎!

でも、大瑠璃の御嬢ちゃん…家の王子様が君を気に入ったみたいだ

君は若くてきが良さそうだし

が家のキャノプティラ王子の御姫様にしてあげようね』


私は生まれて初めて見た「人間」に恐怖しあばれる

『嫌だ!怖い!誰か助けて!』

私の抵抗ていこうむなしく、私の体は簡単に人間の手につかまれ

四角い小さな箱にめられてしまった。

大瑠璃は夏に飛来する野鳥ですw

幾ら綺麗な青い鳥だからって捕まえたり飼ったりしちゃ駄目ですよw

マジで、保護動物ですからw

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ