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【連載版】婚約破棄されたのは最強の悪役令嬢でした  作者: 影茸


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第十三話 第二王子

「はあ、ようやく終わった……」


 私が深々と息を吐いたのは、魔王が消えてから数時間後。

 もう夜となった外を見ながら、私は王宮を歩く。


「お疲れさまです、マリア様」


 苦笑しながら私の隣を歩くのは、私の騎士にして侍女をつとめる幼なじみのキャロリアだった。

 金色の長髪を後ろでまとめ、いつもは凛とした目を柔らかなものにしたキャロリアに私は愚痴る。


「もう魔王は去ったと言うのに、陛下は何度説明させる気だ……」


「ま、まあ。しかし、陛下の魔王嫌いも筋金入りですわね」


「そうだな」


 キャロリアの言葉にうなずき、私はさらに続けようとして……その途中で人の気配を感じ、私は口を閉じた。

 無言で見るキャロリアの目に、彼女も人の気配に気付いたことに気付く。


「おっと、奇遇だな」


 次の瞬間、私の前に姿を現したのは殿下と同じ金髪の青年だった。


「こんなところでマリアベル嬢と会えるとは、奇遇だね。しかしよかった」


 殿下とよく似た顔、けれども比較にならない爽やかな空気をまとったその青年は私をみてにっこりと笑う。


「ちょうど君と話したいと思っていたところなのだ。よかったら、二人で話せないか?」


 その言葉に、キャロリアが反射的に口を開こうとする。

 それを確認し、私はとっさに制止した。


「いい」


 心配をその目に宿すキャロリアに私は目で語る。

 大丈夫、分かっている、と。

 そしてにっこりと笑って私は告げる。


「カイン殿下のご命令とあれば如何様にでも」


 目の前の男、第二王子カイン殿下へと。


「命令だなんて堅苦しい。個人的なお願いだよ」


 私の言葉に、爽やかにカイン殿下は笑ってみせる。


「人のいない場所で話そう」


「では」


 そういいながら、カイン殿下は人気のない一室へと私を案内する。


「……ずっとこの機会を待っていた」


 カイン殿下のまとう雰囲気が変わったのは、その瞬間だった。

 熱っぽい視線を私に注ぐカイン殿下は、私に口を開く。


「私は兄であるミラベルをずっと王の器でないと思っていた」


「はあ」


「君だって分かるだろう? 兄は愚かすぎる」


「私は臣下ですので、お仕えする主君に悪口を言うことはできません」


「……そういうところだよ」


 カインが私の髪に手をふれたのはそのときだった。

 それに私は反射的に振り払いそうになった自分を必死に押さえる。


 チキンすぎる殿下なら、できない行為だなんて考えが頭をよぎる。

 あの魔王はこんな乱雑な触り方などしない、とも。


「こんな婚約者を袖にする兄にはもうとことん愛想が尽きた! 私は君を助けたい! だから、どうかお願いを聞いて欲しい」


 私の顔をまじまじとカイン殿下がのぞき込んできたのはそのときだった。


「──兄を捨てて私の婚約者になってほしい」


 その時、私の胸にあったのはただの虚無だった。

 それを感じながら、私は考える。

 一体どうするのが正解かと。

 その中で、私は前から実行しようとしていたある言葉を告げることにした。


「兄がいやがるのも理解できる」


「……は?」


 突然の私の言葉に言葉を失うカイン。

 それを気にすることなく、私は続ける。


「あんな凶暴で傲慢な女、誰が婚約者にしたいものか」


「っ!?」


 その言葉を言いきった瞬間、カインの顔から血の気が引いた。

 それも当然だろう。

 これはかつてカインが周りの人間にいっていた私の悪口なのだから。

 私はにっこりとして告げる。


「カイン殿下、無理などなさらず大丈夫ですよ」

 本日まで二話投稿にさせて頂きます。

 タイトル迷走しており、何度も変更して申し訳ありません。

 もう変更ないと思ってます!

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