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地下牢の華  作者: 朱音小夏


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6/11

夢見る刻、地獄の現実

「おーい、千善ァ。長ーい厠だったなぁ?」

「ちょっと色々あってな。」

「ふぅん?あんだけべろんべろんになってたのになんかスッキリしてんな?」


「なんか酔いも覚めてる感じ?」そう言うと友人である男は遊女の膝に頭を乗せた。遊女はコロコロと笑いながら彼の頭を撫でる。


「悪いがオレは帰らせてもらうぞ。」

「え?もう?」

「お前は好きなだけいていいぞ。ホラ。」


千善はそう言うと金の入った袋を渡した。これだけあれば遊女の一人は買える金だ。


「千善ちゃんありがとー♡それじゃ、オレは夢を見に行くとしますかねぇ。」

「勝手にしろ。それじゃあな。」


千善は店を出ようとしたその時だった。「あ、あの!」と声をかけられたのである。そこにいたのは雅楽付きの端女の娘であった。


「お前は雅楽の...」

「お花と申します。皇家の方とは知らずご無礼な態度を...」

「いや、気にするな。お前は雅楽を守ろうとした。だろう?」

「...私、雅楽様には幸せになってもらいたいんです。」


お花はそう言うと一つの手形を渡してきた。


「これは?」

「雅楽様に逢うための手形です。これがあれば雅楽様と逢う事が出来ます。料金は月末に一気に払っていただく形となります。よろしいですか?」

「あぁ、分かった。...お花、雅楽に伝言を頼んでも良いか?」

「伝言、ですか?」

「あぁ。"金曜、逢えるのを楽しみにしている"と。」

「分かりました。」


「それじゃあ、これで。お花もまたな。」と言うと千善は店を後にした。



「雅楽。新しい客はどうだ?」


楼主和武は雅楽の元へと訪れ、千善の話しをし始めた。


「はい楼主様。とても優しい香りを纏った方でした。」

「雅楽。前のように"父さん"とは呼んでくれないのかい?」

「...楼主様は楼主様ですから。」

「まったく。母親にそっくりで頑固だな。」

「!母さんは?!」

「安心しろ。と言いたい所だが、毎日のようにお前さんを思っては泣いている。」


和武がそう言うと雅楽は顔を暗くした。そして音もなく静かに涙を流した。


「...親子揃って綺麗な泣き顔だ。しかしあまり泣いてくれるなよ?お前さんらの涙は男を狂わせる。」


和武はそう言うと雅楽を布団の上に押し倒した。そして首筋に口を滑らせると着物をはだけさせ...そのまま一夜の欲望の世界へと入り込んで行った。この時だけは"親と子"では無い。"楼主と遊女"と言う関係性故、雅楽は抗う事が許されないのであった。ーあの人は、千善様はどんな風に触れてくるのであろうか。そう思いながら、目の前の男の欲望を受け止めるのであった。

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