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地下牢の華  作者: 朱音小夏


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幸せな夢。そして幸せな現実

夢を見た。自由になった世界で千善と共に歩んでいる夢を。これは今世ではない。前世だ。前世で夢見た千善と外の世界で自由に生きる未来。


「千善様。見てください!雲一つない青空です!」

「そうだな。今日は少し遠出するか」

「はい!あ、向日葵!向日葵畑に行ってみたいです!」


これは夏の話しか?そういえば千善と出会ったのは夏の出来事だった気がする。......外に出ないと季節感まで分からなくなってしまう。それがようやく出られたのだ。


「雅楽は向日葵を見た事はあるのか?」

「いえ。初めてです」

「それなら行かないわけにはならないな」


二人は向日葵畑へと歩み進めた。そして、場面が変わり二人は向日葵畑の中心にいた。


「千善様......貴方に向日葵を送りたいです」

「オレに?お前花言葉を知っているのか?」

「花言葉?」


そう言うと千善は雅楽を抱きしめながら彼に耳打ちをした。


「向日葵の花言葉は"崇高"、"愛慕"、"あなただけを見つめる"。だ」

「そ、そんな!僕全く知らなくて......!!」

「フフッ。嬉しいなぁ。そうかそうか」

「千善様!!」




「......び、みやび。雅!!」

「かず、さ......さま?」

「オレは千寿だ。......泣いているな。何か嫌な夢でもみたか?」


そう問われるが夢の内容が思い出せない。しかし、心がポカポカとしている。これは一体?


「......何を見たかは覚えてないんです。でも、心が温まるような幸せな夢でした」

「千善と呼んだが、前世の夢のようだな」

「もしかするとそうかもしれません」


千寿は雅を抱きしめると、弱々しい声を出した。


「......お前の中ではまだ"千善"が大きいようだな。いつか"千寿"を一番にしてはくれないか?」

「もちろんです!......なんだかすみません。こんなに過去に囚われていたらダメですよね」

「いや。前世があったから、今の幸せがあるんだ。何も悪い事ではない。だが......」

「?」

「いくら前世とは言えまさか自分に嫉妬するとはな......」


そう呟く千寿に、雅はクスクスと笑い千寿の頭を撫でた。気持ち良さそうにする千寿を見て、"まるで大型犬の様だな"と感じるのであった。そうしてゆったりとし時間を過ごしていると、部屋のドアをノックする音がした。


「雅―、千寿さーん。朝ご飯出来てますよー」

「あ、はーい!今行くー」


雅が起き上がろうとすると、千寿が腹に抱き着いてきた。


「ちょ、千寿さん?!」

「......キスしてくれたら放してやろう」

「?!な、何言ってるんですか!」

「そうか......してはくれないのか」


千寿がガッカリした様子を見せると雅はぐぬぬとなった。だが、雅も男である。情けない真似はしたくない。そして、千寿の頬にそっと口づけを送った。


「口ではないのか?」

「今の僕にはこれが精いっぱいです!!」




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