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地下牢の華  作者: 朱音小夏


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プラネタリウム

この辺りにあるプラネタリウムは少し年季の入った一ヶ所だけ。人も少なく落ち着いた雰囲気がある。いわば、デートスポットの穴場である。雅と千寿がプラネタリウムに入ると、初老の女性が受付に座っていた。


「大人二枚。」

「かしこまりました。」


料金を払い入場券を受け取ると、二人は手を繋ぎながらドームの中に入って行く。受付の女性はそんな二人を微笑ましそうに見ていた。


「やはり穴場なだけあるな。人が全然いない。」

「...この方が二人きりになれた気になりませんか?」


雅の言葉に千寿は感極まった。こんなにも可愛い生き物がいるのかと。ほぼ二人きりなので、思い切り抱きしめる。雅はは照れ臭そうにしつつも千寿を抱きしめ返した。


「ふふっ。千寿さん、苦しいです。」

「可愛すぎるお前が悪い。このままキスをしたいくらいだ。」

「そ、それはダメです。流石に恥ずかしい...。」


二人はシートに腰を下ろすと、ドームの天井を見上げる。その様子はまるであの日の星空のようで雅は感動して、気づくと涙を流していた。そんな雅に千寿はハンカチを差し出した。


「大丈夫か?」

「あ、あれ?僕なんで泣いて...。」


「ごめんなさい。」と言う雅に千寿は優しく手を握ると、安心させるように自身の話しをし始めた。


「オレは今世でも恵まれた家に生まれてな。ものごごろつく頃には前世の記憶を思い出したよ。思い出した時は今のお前の様にさめざめと泣いた。」

「千寿さんでも泣くんですね。」

「ロボットじゃないからな。花香が生まれた時も"あぁ、この子はお花だ。"と確信してその時も泣いたよ。...神様に感謝した。"いずれは雅楽に逢える"、そう確信したからな。」


千寿はそう言うと雅の頬にそっと触れた。


「そして、あの日。花香がお前を見つけたと言った時はそれはもう花香と喜び合ったさ。」


そしてそのまま頬に口づけをした。あまりにも突然の口づけに雅の涙は驚きによって引っ込んだ。


「お前と再会した時には表には出さなかったが、感激のあまりどうにかなってしまいそうだった。」

「僕もです...。"運命の番"のフェロモンがあんなに強いなんて...。」


二人は運命の番のため再会する運命だったのだと喜び合った。そんな話をしながら星空を見ているとやがて時間がお昼をむかえる。長い時間プラネタリウムで語り合ったものだ。


「そろそろ出るか。昼食でも食べに行こう。」

「はい。楽しくて長居しちゃいましたね。」

「これからは、今のお前の話を聞かせてくれ。」


受付の女性に会釈をしながらプラネタリウムを後にする。そして、昼食は千寿行きつけのイタリアンレストラン。どうやら予約をしていたらしい。ここまで完璧なエスコートをする千寿に、雅は今まで付き合ってきた人達にヤキモチを焼くのであった。


「どうした?そんなふくれっ面をして。」

「別に?ただ手馴れてらっしゃるなぁと思っただけです。」


素直な言葉に千寿は思わず笑ってしまった。どうやら考えていた事がお見通しの様である。


「安心しろ。これからはお前だけだ。」

「...それじゃなきゃ許しませんからね。」


可愛らしくヤキモチを焼く雅に、愛しさをつのらせる千寿であった。


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