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地下牢の華  作者: 朱音小夏


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幸せの再会

入学式が無事終わり、雅は朝女性から受け取った名刺の会社へとやって来た。


「すご...。なんか僕場違いだし帰った方がよくないかな...?でも、行かないと朝の女性待ってるだろうし...。てか、ちゃんと見たらココって、日本屈指の一流企業の"天城ホールディングス"...。」


雅が会社前でうろうろしていると、会社から警備員が出て来た。


「ぼく。ここに何か御用かな?」

「あ...えっと、この女性に会いに来たんですけど...。」

「"天城 花香"...。あぁ!副社長のお客様とは君の事でしたか。さ、どうぞ。副社長達がお待ちです。今秘書を呼びますね。」


副社長"達"?なんで複数形なんだ?雅が疑問に思っていると、秘書と呼ばれた男性がやってっ来て応接室まで通された。


「只今、社長と副社長が参ります。少々お待ちください。」

「ど、どうも...。」


雅は落ち着かなく、高そうなソファーに座ってソワソワしながら待っていると、ノックされて扉が開かれた。すると、ふわりと嗅ぎなれない香りが漂ってきた。そして、身体中の血液が沸騰するかの様な感覚に襲われる。


「な、何...。これ?ヒート...?」

「久しぶりだな、"雅楽"。」

「え...?う、うた?あ...ぼく...、か、かずさ...さま?」


ぽっかりと開いたピースがハマる音がした。雅は涙がとめどなく溢れてくる。そうだ。僕は"雅楽"だ。そして...彼は僕の愛する"千善様"。


「一先ず、抑制剤を飲もう。持っているな?」

「は、はい...」


そうして抑制剤を飲みしばらく時間を置くと、ヒートが落ち着いてくる。


「か、千善様は何故ここに?」

「ここはオレの一族の営む会社だ。...今の名は"天城 千寿"という。そして、ここにいる花香は、オレの妹で、...お前の大事な"お花"だ。」

「え...?お花?ほんとうに?」

「はい、雅楽様。お会いしたかった...。」


今まで失われていた記憶が蘇ってくる。愛する人達とまたこうして逢う事が出来るなんて...。それに前世と違い僕達には何のしがらみもない。もういいよね?もう幸せになっても...。


「雅楽。今のお前の名を聞いても?」

「"紅月 雅"です。」

「お前らしい美しい名だ。雅。今世こそお前の番にしてくれるか?」


前世では成し遂げられなかった夢。まさか千寿も望んでいてくれているとは。雅は大粒の涙を流しながら何度も何度もうなずいた。


「もちろんです!貴方以外の番なんて考えられません!」

「雅...」

「コホン」

「...花香?なんだ、邪魔するな。」


千寿が雅の項に噛みつこうとした時、花香がストップをかけるように咳払いをした。


「兄さま。先ずは雅様のご家族の了承を得るのが筋ですよ?だって雅様はまだ"未成年"なんですから。」


ズガーーンと千寿の頭に雷が落ちたようだった。余程"未成年"が効いたらしい。前世でも未成年ではあったのだが...。


「今度雅のご両親に挨拶をさせてくれ。そこで改めて婚約の意思を...」

「まずは交際のお許しを得るのが先です。」

「ぐ...」


どうやら今世では妹に強く出れない兄となった千寿であった。


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