かごめかごめ
「あなた様...雅楽は元気でやっていますか...?」
「あぁ。そんなに気になるなら様子を見に行ってはどうだ?」
「...私が会いに行けない事を知っている癖に。白々しいですね。」
古都はそう言うと、和武を睨みつけた。本来なら客を取らず生涯奉公人として過ごせる事を約束したと言うのに、雅楽のその物珍しい容姿に美しい声...。それにより客からは、「あれはいくらで帰るか」という声が多く上がっていた。よって和武は店の安寧の為、そして店に箔をつける為、雅楽が15才となった時に、本来の手順を吹っ飛ばして花魁として客を取らせた。しかし、ただの花魁では面白くない。よって和武は雅楽を地下の牢へと閉じ込め、客は「太客」「常連」「アフルァ」と言う条件をつけた。それだと言うのに客の中には雅楽を買うために金糸雀に通いつめる者、借金をこさえる者まで出てきたのであった。
「あの子には客を取らせない約束したはずなのに...。」
「古都。これは店の名声を上げるためだ。それにこうは言いたくは無いが...お前達を拾ったのはこのオレだ。恩返しをして貰ってもいいだろう?」
「...ッ!!」
「まぁ、今の所雅楽を買えるような客はそんなにいない。安心しろ。」
和武はそう言うと古都の項に口づけを落とした。
「オレもお前さんと番たいというのに番え無いというジレンマを抱えているんだ。」
「当たり前です。私の番は"愛しいあの人"だけ...。あなた様とめおとになったのは利害が一致したからです。...だと言うのにあなた様と言う人は...!!」
古都は美しい瞳からハラハラと涙を流した。
「よしてくれ、古都。オレァ女の、お前さんの涙に弱いんだ。」
「ごめんさい。ごめんなさい雅楽...。」
そうして、和武は涙する古都を一人置いて店へと出て行った。
カツンー、カツンー...。足音が暗闇に響き渡り、その音は牢の中にいる一人の少年の耳に入り込んできた。少年はゆらりと立ち上がり格子に手をかけると、甘い飴玉の様な甘美な声で問うて来た。
「今は朝ですか?夜ですか...?」
「雅楽様。今は昼です。にぎり飯を持ってきましたが食べられそうですか?」
「あぁ、お花。丁度お腹が空いていたんだ。良かったら一緒に食べないかい?一人は寂しい。」
「私なんかが雅楽様となんて...!恐れ多いです!!」
「ふふっ...。誰も見てやいやしないよ。お花、おいで。」
「は、はい。」
お花と呼ばれた少女は牢の鍵を開け中へと入って行った。
「蝋燭が無くなりそうですね。取り替えます」
そう言うと、お花は新しい蝋燭を取り出し明かりを灯した。
「お花。おいで?」
「!は、はい...!!」
雅楽はお花を呼び寄せるとお花を膝の上に乗せた。
「お花は本当に可愛らしいね。将来は立派な花魁になるんだろうなぁ...。」
雅楽はそう言うと、優しい手つきでお花の頭を撫でつけ、お花の将来の姿を思い描き、優しい笑みを浮かべるのであった。




