永遠の幸せを
「ごちそうさまでした!」
「...よく食べ切ったな。これでよく太らないものだ...。」
「ふふっ。普段あまり食べないからこういう時くらい思いっきり食べたいじゃないですか。」
流石は遊女と言う事か。普段の食事量も管理されているというのか。自由に食事できないのも悲しいものだ。千善がそんな事を思っていると、雅楽が身を乗り出して千善の眉間に人差し指を当てた。
「雅楽?」
「眉間。シワ寄ってますよ?おじいちゃんになってしまいます。」
「はは。それは困るなぁ。」
「でも、おじいちゃんな千善様もかっこいいんでしょうね。」
まったく雅楽は口が上手い。持って生まれたものなのか、それとも遊女として身につけたものなのか...。いや、これ以上考えるのはよそう。また喧嘩になってしまう。
「...千善様?どこか気分でも悪いですか?」
「いや、すまない。少しばかりぼぅとしてしまった。」
「もう!僕といる時は、僕の事を考えていてください!!」
なんて小悪魔的で可愛らしい台詞を吐くのだろうか...。千善は悶えるのを必死に堪えるのであった。雅楽の前ではかっこいい大人な男でいたい。そんな事を思う千善であった。
「もう腹はいっぱいか?」
「はい、さすがにもう...。」
「そうか。それならお前を連れて行きたい場所がある。」
そう言うと会計を済ませ、店を出る。そしてどんどんと人気も電灯も少ない細い道へと進んでいく。次第に雅楽は不安になって来るが千善は何も言わない。そうしているうちに階段が現れ、それを登っていく。すると、そこに広がるのは満点の星空と大きな月。雅楽は一気に心を奪われた。
「雅楽、誕生日おめでとう。生まれてきたことに感謝する。これからもオレにお前を愛させてくれ。」
「千善様...。はいっ!もちろんです!僕をずっとそばに置いてください...!!」
2人はそっと抱き合い口づけを交わした。啄むようなものから深いものまで。そんな口づけをしたせいか、雅楽は欲が出てきてしまった。"抱いてほしいと"でも、この間みたいになるのが嫌で何も言えないでいた。そんな雅楽の様子に気づいた千善は、今度は失敗しない、絶対に。と意気込んで雅楽に告げた。
「これから店に戻ってお前を抱きたい。お前が生まれた日を独占するために。オレだけの物にしたい。...ダメか?」
「...!ダメなんかじゃないです!!僕も、千善様に僕の生まれた日を貰っていただきたいです。」
生まれた日に愛する人と交わる。あぁ、なんて幸せなのだろうか...。この幸せを永遠の物にしたい。忘れることのない綺麗な思い出として...。




