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月昇守護  作者: Mikazuki
7/11

恵の過去

 笑うのが好きだった。楽しいものが好きだった。人が悲しむのと自分も悲しかった。

 中学生まではただ笑って過ごすだけでよかったから、とても楽しかった。

友達も大好きだった。感情も豊かで左右はされやすかったけど、それでも幸せだった。

心から笑えてるとき、演技なしに笑えてるとき、なにかに夢中になって楽しめてたあの時期が愛おしい。


 いつだっただろう、変わったのは中学一年生の2学期。クラスで虐めが起きた。

虐めは嫌いで、心が苦しくなる。お節介かもと思いながら、いじめられてる子を庇った。

その良心が原因で余計にいじめは酷くなった。私に飛び火はなかった。ただ、


「恵ちゃん優し~!でもさ世の中ってピエロいないとつまんないよ?恵ちゃんは可愛いし愛想いからさ別に見逃すよ?だけどさ現実みようよ。」


いじめの主犯はそう言った。


 現実…。楽しいだけじゃダメなんだ。愛想がないと築けない人間関係。見えない進路。悪い成績。ありのままだと、このままだと……


 気づけば現実に囚われていた。笑顔も演技になってしまった。自慢ではないけど、容姿は整ってる方で告白されることも多かった。

でも演技の私だけを好きな男達には吐き気がした。それでも人を嫌いにはなれなかったし、心配させたくなかったからずっと明るく笑顔で振る舞ってる。

現実も小さな幸せは確かにあるから、嫌いになれない。所謂「勇気のない優しさ」が募るばかりだった。


 宇海が現れるその日まで。感情豊で、現実を知らない無垢な少女。過去の愛おしい日々と宇海を重ねてしまった。


 貴女には現実を見てほしくない。私が目を塞いでてあげるから、どうか無垢な少女でいてね。

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