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月昇守護  作者: Mikazuki
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帰り道

道を月明りがぼんやりと照らしている。静かな夜にバラけた足音。二人の高校生が帰っている。

背が高い銀髪の少年、吉田蒼唯(よしだあおい)は部活で、ピンク髪の少女、瀬世羅宇海(せせらうみ)は居残り勉強で学校に夜遅くまで残っていた。

蒼唯の後ろを宇海がそれとなくひっそり歩いている。


蒼唯は


(またこの人後ろにいるよ…)


と疑問に思いながらも、別に自意識過剰かもしれないと気にしなかった。宇海は隠れながらも、その浮き足立つ気持ちは隠せていなかった。


 いつも通り。そのはずだった。突如、地面が揺れた。物陰から緑色の通常よりでかいトロールがでてきた。地面が揺れたことでバランスを崩した蒼唯に襲い掛かる。蒼唯は突然のことで反応が遅れた。恐怖から目を瞑る。こん棒が蒼唯の頭に振りかかる。


 しゅん――


水と剣の混じった音がした。ゆっくりと蒼唯は目を開ける。視界の先でこん棒は真っ二つになっていた。目の前には、刃の部分が鏡になっている水を纏った剣を構えている宇海。目は血走り怒っている。宇海は息を深く吐く。刹那、トロールの居合いに入り体を真っ二つにに切ってしまう。


 蒼唯は目を見開く。その強さ、速さに。宇海のその後ろ姿は逞しく美しかった。宇海はクルっと後ろを振り向く。優しくぱっと笑う。そして心配そうに


「大丈夫だった?」


と蒼唯に問いかける。蒼唯は不安そうに


「あ、ありがとうございます」


と敬語でお礼を言う。宇海それが不服で


「同じクラスなんだから敬語じゃなくてタメ語でいいよ!」


と言った。そうは言うが宇海は目は合わせられない。内心、ドキドキして心臓はバクバク。始めて好きな人と話すのだ。それはもう赤面は隠せなかった。蒼唯は鈍感だからかそれに気づいてはいなかった。蒼唯はタメ語でお礼を言い直した後、しばらく考えた様子で口を開く。


「あのさ瀬世羅、よかったら俺の入ってる元素研究部ってところに入らない?瀬世羅なら戦えると思ったんだ」


「元素研究部」それはこの2人が通っている三日月学園の一番人気の部活。この世界の人々は「火」「水」「風」「土」の四大元素を使える。元素研究部はその四大元素を研究する。


魔物が蔓延る世界で、戦える人間は少ない。しかし、元素研究部では戦える人がほとんどだ。ただ、中には蒼唯のように戦いが苦手で、研究の方が得意と言う人もいる。


そして、この世界では基本一つの元素しか人々は使えない。しかし、蒼唯は四大元素全てを使えるが、出力があまりにも少ない。そんな蒼唯に比べ宇海は強かった。水の元素の剣使い。彼女の強さを見た蒼唯はもったいない思ってしまった。だから勧誘したのだ。


一方宇海は固まっていた。好きな人から部活の勧誘を受けたのだ。ドキドキなんてものじゃない。口から心臓が飛び出そうになっている。


「う、うん!!!」


宇海はテンパって大きなボリュームの裏声で勧誘を承諾する。


「夜道だし一緒に帰ろっか、助けてくれたし送るよ」


「え、あ、ありがとう…!」


気まずい沈黙が流れる。足音だけがぽつぽつと響いている。


宇海がゆっくりと口を開く。


「あのさ、元素研究部ってどんなところなの?」


「うーん、簡単に言うと。俺らって生まれつき皆多少なり元素力もってるじゃん?その研究だよ。戦って極めたり、資料の読んで深く知ったりする。」


「ふーん…じゃあさ、なんで私を誘ったの?」


「えーと……君が強くて、なんか勿体無いと思って…身勝手な理由でごめん。けど、戦う君凄く綺麗だった」


蒼唯は真っ直ぐ目を見て言った。しかし自分の言ったことに恥ずかしくなり目をそらし頬を赤らめた。その傍ら宇海は顔が真っ赤になりまるで茹で蛸。それには蒼唯も気づき、また沈黙が流れてしまう。そんな甘酸っぱい雰囲気が月明りと共に2人を包む。

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