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月昇守護  作者: Mikazuki
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廃墟任務編①

月明かりが大きな工場の廃墟を照らしている。そこに今、四人の少女が乗り込もうとしている。彼女達は魔物討伐の任務でここへ来たのだ。

入り口からは歌声が聞こえる。バイオリンのような美しい歌声だ。

その歌声を聞いた舞桜は険しい表情になり三人に忠告する。


「この歌声……おそらく魔物の種類は人魚よ。

皆、強いから気を付けてね」


人魚


それは魔物の中でもかなり強い種族。そして数はかなり少ない。

大きな嘴、緑色の綺麗な鱗。人魚は歌声で人々を呼ぶ。強い元素力に耐性の無いものだとすぐに引きずり込まれる。

見た目は美しいが目が無い。急所は心臓のみだ。


「私が先に行くから恵と宇海ははぐれないようについてきて。瑠璃、貴女は強いから後ろは任せたわ」


瑠璃にそう言う舞桜の気持ちは頼りにしているというよりは弟子としての愛しさと強さの嫉妬に近かった。そんな舞桜に瑠璃はなにも知らないように憧れのままに嬉しそうで


「はい!」


と応えた。

そしていよいよ舞桜は廃墟に足を踏み入れる。


ぴちゃん


暗闇が漂う静かな廃墟に水の音が鳴り響く。

四人は慎重に前へ進む。


ドンドンドン


複数の足音が鳴り響く。床に張っている水が揺れた。


「来るよ」


舞桜はそう言い、扇子を広げて戦闘態勢に入る。扇子には桜の模様が散りばめられている。凛として美しくもその後ろ背中は頼もしい。

そして三人も戦闘態勢に入った。

恵は自身の身長と同じくらいの大きなハンマーを肩に担ぎ周囲を警戒する。目は鋭くいつもより威圧感が出る。

瑠璃は(つか)を持ち、脇構(わきがま)えをする。普段の可愛いふわふわ具合からは想像もできない程に凛としていた。舞桜と瑠璃の凛とした表情と雰囲気は瓜二つである。流石、師弟なだけある。

宇海も両手で剣を身構える。緊張して震える手を深呼吸をして落ち着かせる。

複数の足音が近づいてくる。宇海はとうとうその大軍の姿が見えた。


(あれはゴブリンの…!)


ゴブリンは基本群れで行動する。一体一体は弱いが数の暴力と言うのは厄介だ。

しかし宇海にはもっと厄介な点があった。ゴブリンは元素力を持たない。しかし宇海はこの一ヶ月間、自己流の剣術の基礎を固めた。その自信が宇海を強くする。


(数の物理攻撃…でも今の私なら大丈夫!)


たくさんのゴブリンがこん棒で殴りかかる。体は小さいと言えど威力は強い。

剣で受け流す。隙をつき切る。


(数が多すぎる…!)


いくら倒せど沸いてくる。


(くそ!通常より多すぎる!)


異常発生。それだけここの主である人魚の力が強大なのだろう。


がらっ!!


瓦礫の振ってくる音だった。


『質量の伴う攻撃には気を付けて』


蒼唯の声がフラッシュバックした。剣では反射できない。ならばと宇海は身を捻らせ避けることに専念する。


(大丈夫!蒼唯から言われたことちゃんと覚えてる!)


順調ではあるが、きりがない。焦りも増える。

そんなときだった。


「宇海!恵!ここは私と瑠璃で道を開く!だから二人は人魚を倒してきて!」


舞桜はそう叫ぶと扇子で風を起こす。瞬く間にゴブリンが倒れ道が開く。

恵は優しい笑顔で宇海に手を差し伸べる。


「行くよ!」


恵の手をとり、風で倒されたゴブリン達を道にして一気に駆け込む。

そしてしばらく走って、二人は禍々しい雰囲気をした最新部に辿り着いた。

そこにいたのは熊くらいある人魚だった。目はなく空洞になっていて真っ暗な穴。天井の穴が空いている。月明かりに反射し美しく輝く深緑の鱗。

宇海は脚が竦むが、しっかりと足の裏を地面に付け気を取り直す。そしてまっすぐ敵を見る。


(戦って見せる!)


強い覚悟を決める宇海。恵も真剣な表情で人魚を睨んだ。

今、人魚VS恵&宇海の戦いが始まる。

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