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月昇守護  作者: Mikazuki
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廃墟任務編②

けたたましい人魚の声が鳴り響く。

先程聞いた美しい歌の声の主とは思えない程に威圧感がある。

身構える宇海と恵。人魚は尾びれを地面に強く叩き威嚇している。

二人怯まずに互いに目を合わせ攻撃にはいる。


ドッスゥン!!


恵がハンマーを地面に叩きつける。

恵の攻撃は他の土属性とは違い戦い向けではない。

フィールド形成である。

彼女はハンマーを地面に叩きつけると思い描くように地面の高さや形を変えられるでのだ。

地面は高く盛り上がり宇海から人魚に向かって(まだら)な階段になった。


「宇海ちゃん!落下攻撃だよ!」


「ありがとうございます!」


宇海は恵が作った階段を飛び跳ねながら上る。そして助走をつけて、空中へ身を投げ人魚の真上に来る。

人魚も真上を向き、嘴から濃密度の真っ白な元素力攻撃を放つ。


(濃密度の元素力!私の剣なら跳ね返せるはず……!)


宇海は剣を持つ手を落下攻撃から反射態勢に変え、剣の腹を人魚へ向ける。


きらり


人魚の顔、そして人魚の攻撃は鏡の部分に反射する。


(重い!)


濃密度の攻撃を必死に押し返す。


(全部は跳ね返せない……まずい)


そのまま元素力は人魚へと跳ね返る。しかし宇海は反射できなかった一部分をもろに食らってしまった。

手足が痺れ動けない。恐怖へ深く沈む宇海。


しかし、少しもしないうちに人魚は復活した。

ふわっと宙を泳ぐ。周りの柱を壊しながら優雅に舞う。廃墟の柱は脆くボロボロと崩れ落ちていく。


「危ない!」


恵が叫ぶ。宇海は恵の声で目が覚める。そして振ってくる壊れた柱や天井を二人は必死に避ける。

がらがらと音を立てて大きな破片が振ってくる。油断できなかった。だから潰されないように避けることばかりに夢中になってしまった。

だから宇海は気づかなかった。人魚が体当たりしてきたことに。

迫り来る人魚。


(あっ……もうダメだ)


絶望して固まっている宇海。


(全部守るって言ったのにな)


宇海は諦めかけていた。絶望的な状況に恐怖で動くことすらできなかった。ただ恐怖に溺れることしか出来なかった。


ドン!


宇海は背中を押される。


(え?なにが起こった?) 


唖然とする宇海。

恵は人魚の体当たりから庇ったのだ。庇った代わりに恵は大きく飛ばされる。

ハンマーに人魚が当たるように構えていたため飛ばされた時怪我はなかった。

しかし着地する時に失敗してしまう。


ゴン


頭と地面が接する音が響いた。そして恵は気絶してしまった。


(恵先輩…!)


宇海はその音に目を見開いて絶望した。


(結局守られてばかりじゃないか……)


絶望する宇海など気にせずに、恵に人魚はとてつもない速度で突進する。そして大きく嘴を開く。


(ダメだ。このままじゃ恵先輩が食べられてしまう)


恐怖に溺れていたはずだった。それがなんだと言わんばかりに宇海は剣をグッと震える手で握りしめる。同時に真っ直ぐ走り出す。


(間に合え!)


しかし誰がどうみても間に合う距離ではなかった。

状況は絶望的。そんなときだった。


ビュンーー


切り裂くような風の音が聞こえた。そして人魚の頭に薄く光る矢が貫かれていた。

人魚は大きく身体を反らせる。けたたましい鳴き声が鳴り渡る。

その隙のお陰だった。


ザクッ!


宇海が人魚の心臓を刺すことができた。


(恵先輩はどうなった?)


息を整えながら辺りを見渡す。どうか間に合ってますようにと願いながら。


(あれは?)


消滅する人魚。その奥には恵を抱えた少年がいた。

少年は宇海と近い歳にみえる。そして宇海はその少年を元素研究部で見たことがあった。

少年は恵の息を確認できると安堵からため息をつく。安心したようによかったと何度も繰り返している。

そして少年は呟いた。


「最初から俺に任せておけば……」

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