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最強の武神様の隣にいただけなのに転生者に選ばれたので、創造の力で世界を救う  作者: 花千烈風


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学園生活

 魔術学園 ニヴルヘイムとは、王都にある最大の魔術学園である。そこでは魔術を学ぶことができ、優秀な教師もいるのもあってか国中から受験する生徒が後を絶たない。


「今年の受験者数は10万人だったってよ。毎年右肩上がりで増えていくよな」

「そうだね。しかも、その10万人の中で合格できるのは1000人だけだから狭き門過ぎるよ、ね!」

「よく俺は合格できたよなーって毎回思うんだよ。運が良かった」

「そんなに落ち着いて喋りながら全ての魔術攻撃を受け切ってるやつが何言ってるんだよ」

「ははは! そんな俺に付いて来れてるグレンだってどうなってるんだよ。俺の攻撃がまともに当たったことも無いから、当てることが目標になったぐらいだしな」

「はぁ・・・はぁ・・・必死に動いてやっとだよ。ギースの動きが異常過ぎる」


 魔術によって人々は身体強化を行え、常人とはかけ離れた動きが出来るようになった。その身体強化魔術に特化したのがギースである。学園の中でも異常なほどに身体強化が得意なギースの動きを捉えることが出来るのはグレンだけであり、ギースの模擬戦の相手はいつもグレンになっていた。

 ギースの動きは常人の目では捉えられないほどの速度であり、魔力感知によってグレンはギースの攻撃を察知して避け続ける。グレンは創造の力を使い、自身を強化する魔具を用いて魔術だけでは足りない強化を補っていた。

 魔術による身体強化と創造の力を使っての強化までやって、やっとギースの動きを捉えて避けることが出来る状態になれる。その事実にグレンは毎度のことながら驚く。


「この魔術以外はマジで俺の魔術は使い物にならないからなー。ずっと身体強化魔術を使ってきた影響で熟練度はそこら辺の魔術師よりかは上だと思うぜ」

「確かにギースの他の授業の成績は良くないもんね」

「嫌味言う余裕があるのか。ほらほら! もっとやるぞ!」

「学園内対抗戦前だからって張り切り過ぎだろ!」


 1年に1回ある学園対抗戦。そこでは、魔術を用いて生徒同士が戦うトーナメントである。そこで好成績を取った生徒には、王都専属の魔術師への道が確約されるのだ。


「俺の家は貧乏なんだよな。だからこそ、実力だけで成り上がれる学園内対抗戦で勝ちたいんだ」

「そういえば、ギースの家はそういった事情だったね。自分は対抗戦に出るつもりは無いし、いくらでもギースの模擬戦には付き合うよ」

「グレンとの模擬戦はかなり練習になるからありがたいぜ。授業が始まるし今日はここまでにするか」

「そうだね。にしても、疲れたー」


 グレンとギースは模擬戦場から出て教室へと戻る。ニヴルヘイムは各自自由に授業を取ることが出来る制度を取っており、得意な分野を伸ばしたり苦手な分野を補うなどを自分で取捨選択する。

 グレン達は対抗戦前だけ授業を取る数を減らして模擬戦を毎日繰り返していた。


「魔力とは、魔術師における血液のようなものである。これが無ければ魔術を使用することが出来ず、魔力が枯渇すれば生死にも関わることがあるので注意が必要だ。

 魔術を使用するための魔力は人によって変わり、精度を上げることで同じ魔術でも魔力量が変わる。そして、ここから肝心だが、魔力保有量は才能の依存が大きい」


 血筋や才能に大きく依存する魔力は個人の努力でどうにもすることは出来ない。だが、魔術だけは努力によって全てを超える。魔術を理解し、精度を高めることで消費魔力などを抑えたり魔術そのものを強化出来るのだ。

 魔術の中に火球を放つファイアボールというのがあるが、同じ魔力量の人間でも熟練度が違うだけで威力や消費魔力が倍以上違ってきたりするのだ。


「ウィズ先生、質問良いですか?」

「ええ、どうぞ」


 眼鏡をかけた男性教師のウィズに1人の生徒が質問をする。


「本を読んでいると、魔術とは違う魔法というのが出てくるのですが、それは何なのですか?」

「ふむ・・・魔法ですか。それについてお話しすると難しいですが、質問されたからには答えましょう」


 ウィズは黒板に板書しながら説明をする。


「世界にある魔術というのは魔法の派生によって生まれたものです。では、魔法とは何なのかということですが、選ばれた存在だけが扱うことができるもの。魔術よりも強力で、魔術よりも恐ろしい物が魔法なのです。

 ですが、その魔法も歴史と共に消え去りました。魔法を持って恵まれた存在である21人が魔法を持たずに生まれた存在を迫害し始めたのです。

 魔法に対抗するために出来たのが魔術です。誰でも扱うことができる魔術によって形勢は逆転し、何とか勝つことが出来ました。そして、魔法という存在は消えたのです」

「ということは、より強力な魔法も使おうと思えば使える人がいるということですか?」

「いるにはいるでしょう。ですが、魔法は禁忌です。それに触れて発現させた場合、王国騎士によって捕らえられ、死刑になります。

 深くは入り込まないようにして下さい。魔法の深淵は混沌です」


 ウィズの一言でクラスのみんなが息をのむ。その恐怖の言葉でみんなが魔法についてはこれ以上を言及しないように決めた。

 グレンだけは自身が持つ創造の力こそが魔法の一端だと感じていた。大いなる力である創造の力は魔術を凌駕する力なのだ。


「兄様ー! 今日こそは一緒に帰りましょう!」

「アリス・・・また今日も来たのはいいけど、研究会に入らないのかい? クラスのみんなは入ってるんだろ?」

「研究したいと思えるところがないんですよね。それに研究会に入ると兄様と一緒にいられる時間が減るじゃないですか」

「はぁ・・・そもそも俺なんかと一緒にいていい存在じゃないだろアリスは」

「どういう意味ですか?」

「俺なんかよりも優秀なアリスが俺に合わせているよりも研究会に入ったりした方が良いって意味だよ」

「私が兄様よりも優秀? そんなのありえません。私なんかよりも遥かに兄様の方が優秀です」

「買い被り過ぎだよ」

「兄様は自身を過小評価し過ぎです」


 グレンとアリスは帰り道を一緒に帰る。研究会に属さない生徒は授業が終わると同時に帰り、各々のやりたいことを行う。

 ニヴルヘイムには様々な研究会がある。魔術を様々な角度から研究する会が多くあり、興味がある研究会に属して魔術について研究する生徒が多い。


「それで、今日はどこに行きたいんだい?」

「ニヴルヘイムの近くにあるスイーツ店です。新作のスイーツが出たと話題なんですよ」

「分かった分かった。じゃあ、そこに行こう」

「ありがとうございます!」


 アリスは足取り軽く喜びながら歩みを早める。その光景を見てグレンは笑顔を浮かべながらアリスを追いかける。


「世界の理から外れた存在。我々を妨害する存在」


 歩みを進めようとしたグレンの耳に入ってくる言葉。その言葉を発する存在など一つしかない。


「アダマスか。言っておくが、この日常を壊そうとするなら理の外の力を持って全力で潰す」

「まだ潰されたくは無いから肝に銘じておこう。君たちとの戦いは楽しいからな」


 不穏な言葉を発した存在は消え、グレンはアリスのところまで足早に歩みを進める。何気ない日常の日々を壊す存在をグレンは許さない。全てはこの新たなる世界を守るために。


「グレン様、こちらの会計はお任せ下さい」

「エルフィ、すまないが頼む」

「いえいえ、私たちの主であるグレン様のためならば問題ありませんわ」


 おっとりとした雰囲気で細目特徴的な美女であるエルフィはユニアスにおける魔法理論の天才である。そして、この王都において数々のお店を経営する敏腕経営者でもあるのだ。


「にしても、エルフィの商才は凄いな。出す店全てが成功してるんだろ?」

「成功に導く法則があるんですよ。まぁ、最初は大変でしたが」

「そういうものだろう。にしても、ユニアスに資金提供しても大丈夫なのか?」

「大丈夫ですよ。ユニアスには可愛い後輩も多いですからお金の面で困って活動が上手くいかなくなる方が嫌ですので」

「そうか。ありがたいな」

「グレン様の為ならば何も問題ありませんわ」


 アリスに連れてこられたスイーツ店 ハピネスの店主でもあるエルフィとの会話を切り上げてアリスのところへと戻る。離れる時にエルフィはグレンへとお辞儀をして店の奥へと入っていく。


「兄様、このお店の店長と知り合いなんですか?」

「前に冒険者ギルドで仕事を受けた時の依頼主だったんだよ。その時の感謝もあるからってことで今日のお代はいらないって言われたよ」

「本当ですか!? ハピネスは有名スイーツ店というのもあってかなり高いのに値段を気にせず買えるなんて・・・天国です!」

「ははは、まぁ、好きに選びなよ。俺は外で待ってるから」

「いえ、兄様も一緒に食べましょう」

「甘い物はなー・・・まぁ、たまにはいいか」


 アリスからの提案でグレンも一緒にスイーツを選んで店の中で食べる。アリスはあまりの美味しさに笑みをずっと浮かべながら手を止めずに食べ続けている。

 グレンも一口食べる。甘い物が苦手なグレンでも気にせず食べれて、グレンも思わず笑みを浮かべる。

 その様子を陰ながら見ていた人物は恍惚な表情になっていた。


「あぁ・・・私のお店のスイーツを食べて笑みを浮かべているグレン様! なんて幸せなんでしょう。アリス様にも感謝しなければいけませんね。このお店を選んでグレン様を連れてきてくださったのですから」

「エルフィ様、ご報告がございます」

「あら、どうしたのかしら?」


 黒いボディスーツを着た女性がエルフィの横で跪いて報告をする。エルフィの部下でもある女性は報告内容を知らせる。


「学園内にアダマスの関係者がいると思われます」

「学園内にもゴミどもがいるなんて。人物の特定は?」

「ニヴルヘイムのセキュリティが凄く我々ではこれ以上の潜入は厳しいです」

「あの学園ではそうなるわよねー。確かニヴルヘイムに入学してたのがいたわね。確かリリスが入学してたような」

「はい。リリス様がニヴルヘイムに入学しておられます。ハイヒューマンであるリリス様ですと怪しまれずに生徒として在籍出来るからと潜入しております」

「そうだったわね。それじゃ、リリスに連絡をしておいて。恐らく貴方たちのことだから連絡はもう既にしてそうだけど」

「はい。連絡済みでございます。リリス様からは、必ず探し出して何とかするから任せてとのことです」

「分かったわ。貴方たちも手伝える範囲でリリスのサポートをするようにしてあげてね」

「分かりました」


 女性は黒い影へと消え、エルフィは魔術会話でイリスへと連絡する。


「アダマスの対応にはリリスが当たったわ。ええ、グレン様の周りに現れたようよ。リリスなら問題ないでしょう。え? グレン様? アリス様と一緒にデートしてらっしゃるわよ。

 あ、ちょっとイリス? 切れちゃったわ」


 エルフィは困った顔をしながらグレンとアリスがスイーツを食べている姿を見続けていた。


「魔王様・・・もうすぐです。もうすぐ復活の時ですよ。我々、魔族の悲願の日がもうすぐ」

「いつまでお前は悦に浸ってるんだ。王都で最高峰の魔術学園にリリスが潜入したんだろ? 次なる行動を起こすべきだ」


 闇が支配する部屋で2体の魔物が話している。1体は魔王の銅像を見ながら悦に浸る変態。もう1体は髪を逆立て、目つきが悪く睨みつけている。


「ベリアルさんはいつもせっかちでダメですね。次なる行動を起こそうと大きく動けばユニアスが邪魔をしてきますよ」

「あいつらか・・・。おい、オペイン。お前なら何か作戦があるんじゃないのか?」

「無くは無いけど、人員不足だね。もっと魔王幹部が揃わないと厳しいよ」

「魔王幹部が揃うのなんて厳しいだろ。魔王様の部位封印と同時に封印されちまってるんだからよ」

「それがそうでもないんだなー。ユニアスの動きによって魔王様の封印は早く解除されるんだ!」

「何? どういうことだ?」

「それは追々分るよ。世界の理から外れた存在が動き出したことで世界は大きく動くよ!!」


 大いなる闇が動き出しつつある。ユニアスの動きと同時に。

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