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光と闇のシンフォニア  作者: 花宮 あいら
終わらない四重奏─カルテット
99/135

19―2 奏でる戦いの音

2章 妹


「探す………?」


「はい」


「でも、このまま時が過ぎれば、クラリスの存在は無くなります!それだけは嫌!」



声を荒げて立ち上がったアイリスを、アリアがそっと肩に手をかけて落ち着かせる。

───と、アリアが魔法の詠唱をする。



「…禁忌というかなんというか、これはやってはいけないこと。失敗すれば、命は無いかも分からないけれど、オレの刻のエレメントを使おうか」



アイリスが二人を、人気の無い所に転移させる。アリアはルナの手を取り、すぅ…と息を吸う。伏せる目、長いまつげ。綺麗な、顔……。



───時よ、(クロック・ザ・)回れ(ワールド)時空を(スペース・)掻き回せ(タイムシア)



ルナが最後に魔法を上書きする。



───|美しき人よ(ヒューマン)《ビューティフル》、新たな(ニュー)人智を(ヒュマニティ)愛する人へ



美しい漆黒と、煌めく白銀の光が交差する。

繋いだ手の中で、新たな暖かさが生まれるのが分かる。それはどんどん大きく、柔らかく、暖かい。


───禁忌によって生まれた命は、美しい銀色の髪と、オッドアイを持つ娘。



「あ、りあ様……」



びくびくと、怯えた顔でルナが膝をつく。

こんなこと、あってはならないと、魔法で…エレメントを使って人を生むなんてことは、あってはばらないと。そう、告げるように。



「……ごめんな」



小さな掌がルナの顔に伸びる。銀色のふわふわとした髪が、瞳が、愛らしく存在を示している。


柔らかな絹に包まれて、小さな赤子は「クラリス」と名付けられた。



「アリア様は、なにか、おかしい……」



その勘は、どの方向へと向かうのだろう。




♢♢♢




「お母様、ごめ、なさ……!」



アイリスが駆け寄る。泣きながら、幼い子供のように。



「もう、聖界に預けました。……あそこなら、安全ですから…」



ぐったりと疲れた様子のルナを、従者のリンが介抱する。



「ルナ様…!」



気を強く、とリンが部屋まで連れて行く。着替えて、ルナは静かに深い眠りについた。



「…お母様は?」


「眠っておられます」


「そう……」



アリアは、数日間姿を見せなかった。

聖界でクラリスにつきっきりということもあるが、同時に罪悪感にも苛まれていた。



「オレは、どうしてあんなこと……」



頭を抱えてしゃがみこむ。と、小さなアイリスが、父によたよたと駆け寄る。



「…大きく、なったなアイリス…」



わしゃわしゃと撫でられることをくすぐったがりながら、小さなアイリスはにっこり笑って、アリアの背中を押した。

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