18-3 刻を越えて
8章 滅亡
魔物の力をも吸収した聖槍、指輪、剣は、賢者の住まう塔に封印された。
はずだったのだが、いつの間にやら剣と槍はどこかへ消え失せていた。
剣はいつまで経っても見つかることは無かったが、槍は光の王城に、平和の証として祀られていた。
魔物の封印から3000年、それは再び起きる。
アルテミスやクロノスはもう既に寿命で死んでいたが、子孫たちが受け継いできた光と闇は均衡を保っていた。
それはある意味、事件でもあった。
───銀髪、紫紺の瞳を持つ娘が生まれた
その報せは、光と闇をおびえあがらせた。
女神と災厄を運びし者が生まれる。それはつまり、魔物の復活を意味していた。
♢♢♢
娘の誕生から16年が経ち、娘は闇の王子と結婚した。
そして、予想通り魔物は復活した。
黒剣が無いだけで、魔物は異常な強さを誇った。
「うぁあああああ───!!」
娘は、戦った。
傷つこうがどうなろうが、狂ったように戦った。
そして、もう一度封じ込めた。指輪と槍に二分して。
けれど──────。
「ぅ、あ……ぁぅ…」
娘には、その力が強大すぎた。
女神アルテミスでもってもそれは殺せなかったのだから、当たり前なのだろう。
でもそれは娘の精神をおかしくさせてしまった。
訳のわからない呪術や魔術に手を出すようになり、自傷を繰り返した。
呪術はやがて術を成して、頻繁に生まれるようになった銀髪紫瞳の子にそれが引き継がれるようになった。
そして、娘は自滅の道を辿っていった。
「ぁぅ……う、あ…い、してる…」
最後に、そう言い残して彼女は死んだ。
そのすれ違いに生まれた娘は、銀髪紫瞳、そして、「前世の記憶」を持っていた。
狂った娘の記憶を持って生まれた彼女は危険極まりなかった。
光の王族は、それから全ての王族として生まれてきた赤子に、前世の記憶を封印する術を生み出し、施行した。
「哀しき記憶に追憶を、愛しき人との巡り合わせを。────メモリアル・ラプソディ」
前世の記憶を持っていた娘も、その封印によって普通の、良き王女に育った。
彼女が死して、それから1000年の時が過ぎ去った。
今度は、光と闇の戦争が起こった。
発端は、闇の王子と光の王女の結婚。
闇の王は何らかの原因によって侵攻を開始し、二人の少年少女は止めようと奔走した。
少女は聖なる槍に選ばれ、二人は賢者の塔で、賢者によって指輪の持ち主としても認められた。
やがて、少女は戦争を止めた。
少女はイレギュラーな存在によって、自分の運命を脅かされているのを、気付く猶予も無く、新たな戦いに身を粉にして奮戦する。
───それは、前世の記憶が開かれる寸前。




