18-1 刻を越えて
6章 災厄
魔物の復活。
それは、アルテミスとクロノスが故意に行った訳ではない。
戦争を止めようとはしていた。が、こんな形はもちろん彼らにとっては不本意。
二人は手分けしてすぐに、魔法で住民を聖界へと避難させた。
膨大な魔力のある聖界であれば結界もより協力であり、何より文明も大差はない。
短い期間ならばばれることはないと踏んだ。
「クロノス、私は神殿の周辺に結界を張ります」
「わかった」
アルテミスは神殿の結界を結び直し、魔物をそこから出られないようにした。
が、それは全く意味を為すことなく、魔力を吸収して魔物はどんどん強力になっていった。
「………うぅ」
ぎり、と歯を噛み締めて粘るアルテミスだったものの、もう無理だと諦めて、討伐に専念することにした。
討伐を進める中で、蒼の守護者と妖精、エレメントの力を得た王女と王子が仲間となった。
年若い彼らは物怖じする事もなく、ついには魔物の息の根をとめるあと一歩、というところまで辿り着いた。
しかし、息の根を止めきれなかったことがまた火種になってしまうなどと、この時の誰が思うだろう。
「ぐぁああああああああああ!!!」
魔物にとどめを刺したと、誰もが思った。
「ぐ…ぅ…ぁああああああああ!!」
それは、肥大化して、彼らを軽々と凌駕するものに変貌した。
そして、魔物はまるでそうしたかったのだと言うように、王子や王女の魔力と力を吸い上げた。
力を失えば、彼らもただの一人の人間。戦う力も尽き果て、ひとり、またひとりと倒れていった。
「あ……ぅ……そ…んな」
アルテミスは呻きながら、槍を強く握りしめる。それはクロノスも同じことで、漆黒の剣を握る。
「倒す…なんて、もう………」
完全な絶望を、アルテミスとクロノスは知った気がした。できないということを。
けれど、アルテミスのような女神は、奇跡を起こせないなんて、そんなイレギュラーなことが有るわけもなく。
「っ………!指輪が…!」
「アルテミス…?」
願いが通じたように、アルテミスの指輪がきらきらと煌めく。
それに呼応して、クロノスの黒い指輪も鈍く輝く。
更に、倒れた仲間の持つ武器までもが呼応しあったように光り、輝き、煌めいた。
その光りに魔物は気付く。手を伸ばしてくる。
「させません」
するりと魔物の手をよけ、アルテミスは魔物が気付く間もなくそこへ聖なる槍を突き刺した。




