表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光と闇のシンフォニア  作者: 花宮 あいら
光焔の王女
81/135

16ー1 未来を奪いし者

36章 未来を奪いし者


「あ……」



がたがたと足が震える。

前にも後ろにも、転がるのは死体と、おびただしく流れる赤黒い血と、鼻をつく匂い。



「……よくも」



一人の少女は息を荒くしながら、剣を杖にして立ち上がる。

目の前には、微笑を湛えて立ち尽くす異形の者。少女は、いくつも傷を抱えながらまた立ち上がり、無謀にも挑み、嘲り笑われる。



「あぁっ……!!」



また、床に叩きのめされ、額からは汗と鮮血が伝う。


──酷い匂いだ。焼き殺してやりたい。


少女は、その血を床に散らし、赤い華ほどに綺麗な死に様を御免としてもう一度立ちあがる。


あまりにも無様な有り様に、私は一度瞳を伏せた─────。



♢♢♢



「……!」



アイリスがその最悪の微睡みから目覚めたのは、過去を変えてから一週間後。

疲労困憊で身体がついていかなかった。



「あ……ゆめ……」



傍らには、若き日の大好きだった母が眠っている。綺麗で、いつ見てもさらりとした銀色の髪。白い肌、長いまつげ。どれもアイリスには憧れで、羨ましくて、大好きだった。


はず、なのに………


とめどなく涙がこみ上げてくる。

ぽろりと涙が彼女の頬に滴り落ちる。なま温かいそれに気付いたルナが起き上がる。



「お母様…」



ぎゅっと抱きしめる。そして、その掌には


────ナイフが握られていた。



「…ごめんなさい」




♢♢♢




「アイリス?」


「…っ!」



二度の夢を見て目覚めたアイリスは、ふと自分の目を、近くにある鏡越しに覗き込んだ。

自分が自分に話しかけられているようで、不気味。



「お母様………」



夢の中で私は母をどうした……?

アイリスはぐるぐると考えながら、のそのそ起き上がる。

古城の近くの湖のほとりには、朝日が差し込んでいた。



「アイリス、おはよう」



用意された紅茶を一口、口に流し込む。

ごくりと飲み込んで、一人ペガサスに乗り込んだ。


十数年後もの時がたったアイリスの相棒である聖槍を取り出して、みるも無惨に近くの魔物を一刺しにする。

もやがかかったように魔物は消えていく。

どうしてしまったのだろうと、アイリスはずっと考えていた。



「もし、黒いナイフの呪い返し(カウンター)が発動していたら………」



あの時、道化師に刺された黒いナイフ。


『僕はいつでも、君を見ているよ……』


ケタケタと、くつくつと、狂ったような、アイリスを嘲笑うようなあの気持ちが悪い笑み。

アイリスの背中が、冷や汗でぐっしょりと濡れる。


───私は、今も昔もひとりぼっち



聖界に預けられていた頃を思い出して、一人寂しく笑った。

もう新しい一年が始まって二週間です。

皆さん如何お過ごしですか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ