SS─清らかな朝日へ─
明けましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします
「明けましておめでとうございます」
朝、正座でアリアと挨拶を交わすのは、他でもない彼の妻、ルナ。
今日は一年でめでたく、そして新たな始まりのある日でもある。
「明けましておめでとう、ルナ。でも、そんな風に顔を下げられたら、ルナの顔が見えない」
くいっと顔をアリアの方へ、強引に向けられる。次いで、ルナの唇に少し固く、でもふわっとした暖かみのある感触がくる。目の前には、長いまつ毛と、黒く吸い込まれそうな双眸。
外もまだ、同じくらい黒く塗りつぶされている。
「い、いつもはこんなこと、しない…のに」
顔を真っ赤にして、ルナがその場にうずくまる。ぷしゅーと気が抜けていく様は、とっても可愛らしく、そしていじらしい。
「ごめんな。───そうそう、商人からある品が届いているんだ。これこれ」
「…これは、何ですか?」
アリアがおもむろに取り出したのは、淡い色とりどりの桜ときらきらと光る魔法が施された、大きく艶やかな布地。綺麗に糸で纏われ、えもいわれぬ美しさと魅力を醸し出している。
「わ、綺麗!」
「着てみて」
白い肌に、真紅のその布が絡まり合う。さっきまで着ていたケープよりずっとあでやかで、なにより端正な佇まいが大人っぽい。
きゅっと、腰の所に帯を巻いて、白銀の髪をお団子っぽく結わえて、桜がかたどられたかんざしを差す。
「わぁ……」
感嘆して喜ぶルナに、アリアが自身も着替えた姿を見せる。
お似合いです、と紺色の着物で着飾ったアリアをルナも笑顔で褒め称える。
するとアリアは、解説を加え出した。近くに控える従者に、そんなの要らないと睨まれているのに気付かず、ぺらぺらと語る。
───全く、女心の分からない主だ
とでも言わんばかりに。
「着物、というものだそうだ。今では着ることのない古く神聖な服で、今では闇の国の、それも「超」のつく一流の職人しか作れない代物らしい。───やっぱり、ルナには赤が似合う。」
いつになくルナへの愛を爆発させるアリアに、ルナは照れながらもお礼を言う。耳まで真っ赤に染め上げて、アリアにとって、たじたじな彼女がそれはもういじらしくて。
「ありがとうございます」
「さて、朝日を見ようか」
もう朝日が起き出す時間になっている。
そのまま、大きな扉を開け放ってバルコニーへ出れば、部屋の中にも綺麗な橙色が差し込んでくる。赤い着物と、今年始めて登る朝日の淡い赤が共鳴するように輝いている。
───今年も、良い年になりますように……
そんな思いを太陽に馳せて、きらきらと朝日に照らされながら。
ルナは抱き寄せられるままに、アリアと今年二回目の、暖かいキスを交わした。
アリアがデレデレ♡な感じを描いてみました。
本当はもっと本編でもらぶらぶさせてあげたいのですが……
何はともあれ、今年も「光と闇のシンフォニア」そして作者をよろしくお願いします!




