15ー3 救うために
33章 ありがとう、わたし
聖なるその光は、国ごと包むような大きな煌めきを放ち、その中心にいたブルーメの意識は、だんだん遠のいていった。
過去が変わった。
「これで、お姉様は……」
光が弱まったその時、アイリスとルナの目の前には、ルナとソレイユが臨戦態勢で構えていた。こうなるとは、想像していなかった。
「…え…………」
ルナの姿を垣間見たもう一人の彼女が驚く。
同じ顔、同じ武器、同じ指輪。違うのは、ルナが二年間で成長した身体つきだけ。
「わたし…?」
ルナは迷った。時空を越えてきたことを、話してしまおうか。でもそれは禁忌に違反してしまうかも。だから、こうした。
「きゃ……!?」
「……」
ルナは、マリンに姿を変える。
こうすれば、トリクル要塞、地下の神殿にいる幻術師、アイリスだと思ってもらえるという算段で。
「お母様、無茶を…!」
「……!?」
アイリスによってそれは失敗する。駄目だ。
目の前の二人はますます警戒心を強める。
というより、一触即発のような感じがする。
──────キィイイン…
案の定、ソレイユが仕掛けてきた。
「悪しき者よ、ここから去りなさい」
「……っ!」
姉の本領を知りえなかったルナにとって、剣の重い一振りを、完全に侮っていた。
そうだ、彼女は太陽の王女、ソレイユなのだから強いことは見る間も、聞くまでもない。
「お姉様!おやめくださ…!」
「姉?私の妹なら、ここにいるわ!」
キィン、ガッ…!と重く鈍く金属音が響く。聖槍を持つルナには、戦うことは容易だった。が、傷一つ付けることは許されない。そこにほったらかしているブルーメが目を覚ましてしまえば無意味に終わる。
防戦一方を強いられるルナに、一つ、ふたつとかすり傷が増えていく。
「おやめください!」
アイリスが叫んだ。
裏に隠れる少女が、がさりと音をたててアイリスの方を見る。それは、誰も気付かないけれど。
「誰…?」
アイリスは武器をその場に起き、淑女の優雅な礼をする。にこりと微笑み、一歩ずつ近づいていく。ソレイユを通り越して、若き日のルナの元に。
目の前にたどり着いたとき、心臓の前に刺さりそうなほど近く槍を突き立てられる。
「この瞳、お母様なら分かりますよね?」
聖痕の入った瞳をルナに向ける。ルナと同じ色の瞳。もう片方はオッドアイ。
「…!?焔の王女………!」
彼女は絶句したように呟き、槍を手から離した。




