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光と闇のシンフォニア  作者: 花宮 あいら
光焔の王女
76/135

15ー2 救うために

32章 過去に戻りし王女



「…ここは…」


降り立ったのは、虹の降る丘、石碑の前。

神話の描かれた石碑に、ルナは祈る


───わたしの願いを、聞き届けて下さい


縋る思いで。



「おやおやぁ?」



ふと、聞き覚えのある声が頭上から降ってきた。見上げれば、ブルーメではないか。

そうだ、あの時姉を傷つけたのは他でもないブルーメ。よく、殺さずにいられたものだと、ルナは思わずにはいられなかった。



「ブルーメ…」


「月の王女がいるとは好都合。その命、頂きますよぅ」



ブルーメが拘束魔術をルナ飛ばしてくる。

と、ブルーメはアイリスの存在にも気づいた。



「そこの娘、名はなんと?」


「…アイリスよ」



その清純な声に、ブルーメは少し目を細める。華奢な身体つき、けれど秘めたる情景。

この頃のブルーメにとっては、まるで憎たらしきエステレアのような雰囲気を纏わせる存在だった。



「ほう…」


「油断は、良くないと思いますが?」


「ふっ……直に王女たちがやってくるさ…」



その直後、ブルーメに拘束魔術をルナがかけた。操り人形のような動きをしながら、彼はそれを解こうとしている。

だが、ルナはすぐにそれを解き別の魔法に変える。思い当たったからだ。


───あの時、彼が操り人形のような動きをしていたのは、そういうこと…!!



「お母様!?」


「たぁ…っ!!」



ルナが槍を構えれば、強大な光が槍にまとわる。ここは光の王国。ましてや石碑のある結界の中は、ルナの魔力は人知を超えて引き出せる。



「…っとぉ……」



彼の首もとまで槍を迫らせ、ルナは彼を石碑のすぐ横まで追い詰める。

仰向けで寝転がり、首もとには鋭利な槍の先端。ブルーメにとっては窮地のはずだった。

しかし彼は狂ったようにケタケタ笑うだけ。



「…これほどとは…くくく…」



あの時、拘束魔術が効かなかったことを考えると、格段に今強くなったことを実感する。

しかし、時間稼ぎも限界が近づく。結界の外にはソレイユとルナが見えた。

この後のことを考えると、殺しては行けない。



「聖なる槍、クレ・リュミエール」



ルナは祈る。



「指輪を司る石、聖月石」



右手には槍を、左手の薬指には指輪を、それぞれ魔力を流し込んで祈る。



「我が呪いの誓約に従いて、悪しき行いを」



思い切り、声を張り上げる。

もう一人のわたしと、大好きな姉に聞こえることも厭わずに。



「悪しき行いを、一掃せよ!!」



女王エステレアですらブルーメに効かなかった神聖な魔法を、ルナは発動させる。

人々の心を浄化し、悪い行いを改めさせる姿も神秘的な魔法で彼を包み込む。



「っく………!」



ブルーメは苦しそうに喘ぐ。

彼は幻影をみた気がした。幼き頃の、愛おしかった彼女の母の姿があった。

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