15ー1 救うために
31章 生かせてあげられない
「姉を救う為に、その日に行きたい…」
「はい」
「残念ですが、認めてあげることは出来ません」
そのはっきりとした言葉に、ルナは愕然とする。確かに、人一人なら誰だって救いたいはずだ。でも、ソレイユはこの国の王族でもあり、重要な立場に就いている人物であって、決して浅はかな理由ではない、そうルナは思う。
「…ソレイユ王女が亡くなったところで、新たな力を持つ者が生まれるだけ。
その輪廻転生は当たり前のことで、私も、あなたたちもそうしてきたもの。
それを壊すことは、理に反している。」
「それはわかっています。でも、時の守護者ならお分かりのはずです。姉が、この世界にとってどれほど大事か……」
懇願するルナに変わり、アイリスが彼女と話し出す。それでも、守護者の考えは変わらない。
「…そうですか」
「…心苦しいですが、いくらこの力でも…」
優雅に一礼をする。二人がとうとうあきらめて立ち去ろうとした時、提案を持ちかけられた。
「…もし」
二人が立ち止まって振り向く。
「もし、あなたが一番大切にしているものを差し出せるのであれば、考えましょう」
「…一番、大切にしているもの…」
「はい」
二人はすぐさま考える。逆に問い返す。
どういうものが良いのか、と聞くと、守護者はそれはその時次第、と答えた。
この回答で、ルナは腹を決めたようだった。
「なら、いかせてください」
「お母様、これがどういうことか…!」
アイリスがすぐさま止めにかかる。が、ルナの決意は動かなかった。
「分かっているわ、アイリス。大丈夫よ」
「…分かりました」
「時間は、たくさんはあげられません
その中で出来ることを精一杯、してきてください」
───ソレイユおば様は、お母様が殺さなければ行けません。
───あの怪我は、命を蝕む呪いをかける時に使う魔法です
───だから、このままでは呪いは進行し、命を蝕み、最悪のことになります
さっきのアイリスの言葉を思い出し、力強く頷いた。そう、未来を、運命を変えるために進まないといけない。
「…我は時を正せし者
新たな希望の光、汝のもとへ」
守護者があの時と同じ詠唱をする。
あの時、正せし者は、歪ませし者だった、と物思いにふけりながら、扉が開き、光包むのを待つ。
「さぁ、いってください」
腰元の大きな鍵を扉に突き刺した守護者の脇で扉が大きく開く。
ルナが駆け出すと、アイリスもそれに続く。
「どうか、ご無事で…」
守護者の祈りの声が、二人には儚げに聞こえた。




