14ー4 過去の力
29章 運命に逆らうため
「アイリス…!?あなた今までどこに…」
星の力を纏わせて戻ってきたアイリスに、ルナは驚きを隠せなかった。
「おばあさまに、会っていました」
「…お母様に…?」
ならば、今まで隠してきた苦労は何だったのだろうとルナは思った。しかしそれよりも今はソレイユのことが先決だ。
「…お母様、これはあなたが起こしたことです」
冷静に告げるアイリスに、ルナは酷く同様する。
「…私は、小さな運命は変えるべきではないと思っています。でも、これは私が居ても居なくても無意味です。何故なら、ソレイユおば様はもうすぐ死ぬのですから」
「…死ぬ…!?」
アイリスから出てきた「死」という単語に、ルナはびくりと震えた。
姉に、何があったんだろうと思考を張り巡らせる。
だがその間にもアイリスは淡々と説明していた。
「……こういうことです」
「あ……えぇ…」
「分かっていませんよね」
アイリスはそう言い切った。はっとしてルナはごめんなさいと謝る。もう一度、アイリスは丁寧にルナに説明した。なんて良くできた娘なのだろうと感嘆していた。
「あなたが、おば様を殺さなければならない」
そう聞くまでは。
「……えっ……」
ルナは絶句し、アイリスは俯いた。唖然と立ち尽くすルナに、アイリスは「そういうことです」とだけ呟く。今にも泣きそうな声で。
「……それを、出来なくする方法はないの…?」
身体を震えさせながら、ルナは絞り出した。
アイリスはルナに向き直り、こくり、と頷く。が、黙ったまま何も言おうとしない。
「……?」
「一つだけ、あります」
人差し指を立てて、アイリスは神妙な面もちで言った。さっきからアイリスは、倒れているソレイユに治癒魔法をかけ続けながら、ずっとそんな顔で説明を続けていた。
ルナも精神魔法で彼女の中野激しく痛々しいであろう感覚を和らげる。ソレイユの身体が滞留した魔力で光に包まれた時、アイリスは足早に説明した。
「……あの日に、戻るんです」
「あの日?」
「ソレイユおば様が、大怪我をしたあの日に。」
ただ……とアイリスは口ごもる。
「リスクが、高すぎます。
ソレイユおば様の為だけにあの日に戻っても、運命は変わらないかもしれない。自分たちの命が無駄になるかも分からないんです」
「……命には、変えられない」
アイリスはほっとして少し微笑む。
自分より姉を優先しなかったことが、何故かアイリスはほんの少し嬉しくなった。
「そう、ですよね。もう太陽の力は女神に祈りましたし、神の御心のまま…」
「行きましょう、あの日に」
「……!?」
アイリスの口があんぐりと開く。何を言っているのと言わんばかりに、縋るようにルナの手を握り締める。もう片方の手は、ソレイユの治癒に専念する。
「お姉様の命も、わたしも、あなたも、未来も。
わたしは全て救うまで、誰一人として死なせたく無いんです」
「でも……!」
「アイリス、あなたは来なくてもいい
わたしが、救ってみせる」
「違うんです……!!」
アイリスの大きな声に、ルナはびくりと、首をすくめた。
あと今年も約一カ月。
これも投稿して早4ヵ月が過ぎました。
これからも投稿は続けていきますので、どうぞよろしくお願いしますm(__)m




