14ー3 過去の力
28章 ごめんね
ルナとマリンが蒼の魔物を倒し、アイリスがエレメントの力を持つ人々を探して、奮闘していた頃。
光の王国の女王であり、ルナとソレイユの母でもあるエステレアは、密かにトリクル要塞を訪れていた。
「………神聖なる女神よ………」
星の力を女神に込める。
ルナもソレイユも誰も知らない、知っているとしたらば……アイリスかとエステレアは踏んでいた。
「おばあさま…?」
案の定だった。
未来を知っているこの子であれば、きっと分かっているとエステレアは思っていた。
エステレアは人差し指を誰にも内緒よ、とばかりに唇にそっと置く。
こくりとアイリスは頷いた。
「やはり、おばあさまがしてくださっていたんですね」
「ふふ、わたしの持つ星の力は、同じ力を持つ同胞の未来をある程度見通せるからかしらね」
優雅な笑みを湛えて、エステレアは立ち上がった。額に小さく浮かぶ星の聖痕が見える。
シンプルな白いドレスを纏った彼女は、ハイヒールを履き、その金色の髪は編み込みで結われていた。
「おばあさま、ありがとうございます」
淑女のしなやかな礼を返すアイリスに、エステレアも優雅な所作で返す。
そこだけゆっくり時間が流れているような感じがして、アイリスは久々に心地よい時を過ごしていた。
「わたくしはこれで」
祖母なのに、若々しく美しい様子はアイリスに深く刻みつけられた。
♢♢♢
「お姉様」
一方で、小城で結界を張り魔物を警戒するソレイユに、ルナは厳しい目線で語りかけた。
「あの時の、女王になる覚悟はあるのかと聞いたのは、どういう意味ですか」
「………言葉のとおりよルナ」
言葉どおりとは…と言いかけたルナに、ソレイユは静かに、大人の対応で受け流した。
「あなたは私と違って、女王になる教育をあまり受けて来なかった。私は生きているのにあなたが王位を継ぐの。その意味が分かる?」
「わたしは……」
「分かる…と思っているでしょう?そこが足りないのよ、ルナ」
ふっと寂しげな笑みをソレイユは浮かべた。
──私があの時怪我をしなければ
そう後悔しているように見えた。
「ルナ、愛しているわ」
ルナに背中を向けたまま、ソレイユはそう言った。でも次瞬きしたときには、ソレイユはその場に倒れていた。
「お姉様!!」
駆け寄ろうとしたルナは、二の腕をぐっと掴まれた。細く、けれど強いその手で。
「お母様、おやめください」
アイリスが、転移で戻って来ていた。星の綺麗な魔力を纏わせて。母に会ったのかとルナは思ったが、彼女がエステレアと会う理由がない思ってその可能性を切り捨てた。
───残りのエレメントは、あと3つ
来年あたりに新作を投稿予定です
そして、光焔の王女編の次は、深淵の王子編を描きます
どうぞお楽しみに!




