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光と闇のシンフォニア  作者: 花宮 あいら
光焔の王女
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12ー5 エレメントの力を

20章 アイリス──私は


ルナがペガサスに乗り込んだその頃、アイリスは一人、転移魔法で闇の王宮にいた。ロワ王が座っている王座は、その時間空席だった。メイドに扮し、紛れ込む。



「王は今日、どちらに?」


「今日は光の城に行かれるそうよ。女王と会談ですって。」


「戦争から、随分人がお変わりになられましたよね」



そんなメイドたちの会話を影から盗み聞きする。



「…変わった…?」



誰にも聞かれないようそっとつぶやいてその場を離れた。

その言葉の意味をぐるぐる考えながら城を見つからないよう歩いていると、急に誰かに引っ張られる感覚がした。



「…!」



声を出さずに静かに振り向く。しかし、その空間は静寂だけに支配され、人一人として歩いていない廊下に過ぎなかった。



「…なんだった…の!?」



大声にならないよう抑え目にはしたが、また引っ張られた。

次の瞬間目を開けると、目の前は真っ暗闇だった。焔を使ってぱち…ぱち…と少しだけ燃やしつつ照らす。



「…誰?」


「…」



そこにいたのは真っ黒い道化師。そうまさに──闇のエレメントを持つであろう人間の姿が垣間見えた。



「…お城の道化師が従うのは皇帝のみ。踊り狂う道化師の名の下、私はあなたを消し去る。」


「道化師。わたしはその皇帝の血縁の者。もし信じないのなら、証拠もあるわ。…放しなさい。」


「駄目だよ。動いちゃ。黒いナイフを影に突き刺してるからね。もし抜いたら、お前の大事な人に呪い返し(カウンター)がいくことになるよ?」


「ちっ。エレメントで消しされない呪いなのね。なら、こっちも呪術で…!?」


「だから言ったじゃないか。私は道化師。ピエロ。これ以上何かするつもりなら…ね。」



急に背筋がぞくりとした。冷や汗が額を伝って顔の下まで流れていく感覚を覚える。



「あなたは、道化師と言ったわね。…なら…闇のエレメントを持つ人間、知らないかしら?」


「……さぁね」



まるで何か知っているような素振りで道化師は言った。名乗りもせず、ただただアイリスを挑発し、脅す彼に、アイリスは焔を纏わせてみる。



「焔の力は、闇や光より強い。あなたの黒いナイフとやらも簡単に引っこ抜けるわ」


「…やれるものなら…正体を暴いてみなよ

 多分、むりだと思うけどね。」


「随分、言ってくれるのね」



ニタニタ笑う道化師に、アイリスはその反応をそっくりそのまま返してやった。



「私は、アイリス。焔のエレメントを受け継ぎし者よ

 あなたに、私の力を受け止めきれる器はおあり?」



自信に満ちたそのオッドアイを、彼女は、憎しみでも悲しみでも無いという風に彼に冷ややかに見せつけた。

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