11ー5 わたしにとって、あなたは
15章 記憶を辿って
「…トリクル要塞…」
「地下遺跡は、久し振りにくるの?」
「は、はい。戦争が終わってしばらくは村娘に姿を変えて過ごしていました。アイリスがまだ生まれてない時間軸なので…」
「アイリス。本来ならあなたはここに一人以上いることは有り得ないこと。自分の身になにがおこってしまったとしても…わたしは、あなたを守ってあげられない…。
それに、あなたがいた未来も、変えてあげられるかは、分からない…」
「承知の上です。私が犠牲になっても…他の人たちが犠牲になることは、耐えられません。」
その言葉に、ルナはクスッと笑った。
「えっと…笑って…」
「うふふ…アリア様とそっくりね。
性格も見た目も。わたしが産んだなんて思えないくらい。」
「でも、この聖痕はお母様のを継いでいます。
瞳の色も…」
「そうね、アイリス。」
出来るだけ名前を呼んであげたかった。
未来でしてあげられなかったことへの唯一の償いになればと思って。
「この女神の像に祈るように、こうして…」
アイリスがマリンとルナ、そしてアリアにエレメントの説明をする。
アイリスが女神の像に祈ると、ルナの聖痕がきらりと赤く光った。
「わ…すごい…」
あたりはみるみる赤い焔に包まれている。でも、暑くもなければ焼けることもないし、周りも燃えない。
「私の世界のエレメントはあと8つ。お母様の世界のエレメントはあと6つです。わたしと同じように皆さんもお願いします。」
「はい」
「あぁ」
「わかったわ」
ルナが祈れば月の煌々と輝く光が当たりを包み込み、
アリアが祈れば深い闇と時計のように巡るような感覚が、そしてマリンは清い水で満たされるようだった。
「…もしも、狂ってしまっていたら…」
「…?」
「もし、私の存在があなた達の本来あるべき未来を…狂わせてしまっていたら、私は未来でどうなってしまうのかは、分かりません。だから、どうか助けて下さい。」
「あたりまえでしょ。」
え?─という風にきょとんとするアイリスを、優しくルナは諭した。
「だって。あの焔の渦は、あなたが起こしたのでしょう?
それに、あなたはわたし達の娘。放っておける訳ないわ」
「お母様…」
アイリスはにこ、と気丈に微笑んで頷いた。
「ありがとうございます、お母様」
「じゃあまずは…わたし達のエレメントを持つ仲間を呼んできましょう?」
「はい…!」
だが、簡単に他のエレメントを持つ彼らを呼ぶには抵抗があった。今までのことが全てバレてしまうから。
アイリスの存在が周囲にバレてしまうからだった。




