11ー3 わたしにとって、あなたは
13章 あなたは、誰
「魔物は多分居なくなった…と思うわ」
「治癒魔法で傷を癒やします。
少しじっとしていて下さいね」
「皆さん…ありがとうございます…」
ルナとアリアの力は完全に回復していた。マリンや、リン、キリアスも治癒魔法によってある程度は何とも無かった。
そして、全員で古城へ転移しようとルナが詠唱を唱えた時だった。
「ルナ、危ない!!」
どこからか攻撃の気配を感じアリアが叫んだ。はっとしたルナは攻撃を避けようとした─とその瞬間、カンという音と共に焔があがり、攻撃は防がれた。
「…?」
「…」
無言でルナを守ったのは、ルナと同じくらいの背丈をした人。暗がりのせいで、男女どちらかはやや分からなかった。
「ありがとうございます、助かりました。」
「…」
立ち去ろうとしたその人の手をルナは掴んだ。華奢な腕に、女性だと分かった。
「あ、待って下さい!」
その波動で、彼女から焔がふわりと舞った。
「焔の力…?」
訝しむルナの横で、マリンが鑑定魔法を使う。しかし、表示されたのは「?」という表示だけ。すると、彼女が口を開いた。
「……さま…?」
小さく口ごもって聞こえなかったが、最後の言葉が「さま」と言ったのは誰でも聞き取れた。
「…?わたしの名前ですか?わたしは、次期光の王国女王、ルナ・ブルームーン・Sと申し…わっ」
急に彼女はルナを抱き締めた。
焔が宙をひらひら舞っているので灯り代わりになり、他の人にもどうなっているのかが見えた。
「お母様…!!」
「お母様…?!あなたは、一体…!」
彼女ははっとした顔をして顔を伏せた。
それから少しして、ぽつぽつと語り始めた。─いや、言葉を一つずつ並べていった。
「多分…信じては貰えないと思い、ます。」
そうして彼女は焔を顔に映し出して自らの姿を見せるようにルナから離れた。短髪のために、彼女には少年のようにも見えた。
「私は、アイリス・レイ・ブルームーン。あなたの…娘です。」
「…!!」
驚いて何も発せないルナに、アイリスと名乗る彼女は続ける。
「…今、わたしは15歳。今のあなたと、あまり変わりません。そして、これを見せれば、皆さんには納得して貰えます…」
ふわっと彼女を光が包み、次の瞬間には彼女はマリンの姿になっていた。
「…!二年前の戦争の時の…!」
「黙っていて…ごめんなさい」
ぺこりと礼をする姿はまるでルナとそっくりだった。オッドアイの瞳。アイリスそのものにしか見えなかった。
今にも泣きそうな目をした彼女を、ルナはそっと抱き締めた。




