8ー1 受け継がれし世界
36章 王の近くに
「…久しぶりの王都ですね」
「あぁ。レンディスたちは予定通り進んでいる。
あとは彼らにバリオンたちが合流することだけだな。」
「はい」
王都の北側から入ったルナたちは、
指輪と聖槍の魔力を貰うべく、城の魔術師の裏にいた。中を伺いつつ入る機会も見る。
「…そろそろ入っても大丈夫か?」
「あと少しです。それと、
バリオンさんとレンディスたちが
もうすぐ城の下で合流します。」
「そうか」
それから暫く経ち、バリオンとレンディスからルナたちへお互いが合流したという伝達が魔法で伝わった。
♢♢♢
その頃レンディスは、集落で荷馬車を借りていた。通貨は調達しておいたものを使っている。
「金貨2枚でお願いします」
「あぁ。いいだろう。これでもまけてやったからね
大事に使っておくれよ。」
「あぁ。婆さんありがとう」
そして、バリオンたちは姿を隠す秘薬を魔導士の里で買っていた。男がじゃらりと金を数える。
「銀貨5枚。」
「確かに。これだ。」
「感謝する。」
「…ブルーメ…だよな」
口から声が漏れる。
ブルーメは知らない人を見る目で男を見つめた。魔導士の里に知り合いなんていただろうかと思いながら。
────と、ブルーメははっとした。
間を空けないよう必死に繕う。
「……久しぶりだな、クディリ」
「生きてたんだな。」
「ははっ、今日死ぬかもしれんけどな。」
冗談だからな、というように笑ってごまかした。本当に死ぬかもしれないけれど。
クディリは、ブルーメのダチだった──と言えば、クディリの立場が分かるだろう。
「…そうなのか。生きてまた飯食いに来いよ!」
「勿論。」
頷きながら二人はがっちり握手を交わす。
その男──クディリは笑い、筋肉質な掌をグーにして握り締め、ブルーメと拳を合わせた。
そして、ルナたちも動き出した。
「よし、第二段階、開始!」
「はい!」
魔術師の裏口から入り、階段を駆け上がって屋根裏まで行く。魔法で出来るだけ音を消すようにしつつ、警戒して見回りをする騎士たちに自分たちが入ってきたと戒める。
屋根裏の窓から外の様子を垣間見る。
そのちいさな窓から、荷馬車を引いたレンディスが入って行くのが見えた。
「ルナ、王の間の近くにある闇の間に行くぞ。」
「はい、アリア様」
闇の間には、裏口の天井から入った。
瞬間魔法でブルーメが報告してくる。
「二人とも、騎士との戦闘は無事避けられた。
今、王の間の手前にいる。
他の兵もいない。すぐ出てきてくれ。」
「分かった。」
「待ってください。」
「分かっている。彼はこっちに寝返った身
何をするか分からない。慎重にいく。」
わたしに任せてください───ルナの透視魔法で兵士がいないことを確認する。
ゆっくり扉を開けて、姿を変えて出て行った。
と、そこにマリンがいた。
「……ルナでしょう?」
「マリン、そっちは大丈夫でしたか?」
「ええ。」
マリンが頷いた。ルナが安心したように微笑む。前途多難だったろうことは分かってはいりものの、大きな怪我もせずここまでまず来てくれたことに、ルナは神に大きく感謝した。
「ついに王の間だ。321で踏み込む。
3、2、1…いまだ!」
王の間をアリアが開けた。
ギイィ…と荘厳な音をたてて。
そこにいたのは───────。
ついに王の間へ踏み込んだルナ。
そこにいたのはー!




