5ー5 王の元へ
25章 石碑へ
「あと少しです」
「ええ、そうね」
「…!お母様!」
虹のふる丘に登る途中で、石碑の結界の近くに女王らしき人影がいるのを見つけた。
駆けながら2人で近付くと、それは違うようだった。
「…誰でしょうか…」
「!お母様!危ないっ!」
そうソレイユが叫んだ瞬間、ルナの隣に彼女の姿は無かった。
「お姉様!?」
まばたきをすれば、ソレイユは気高き女王の前で、血を流しながら倒れていた。
「ソレイユ!あぁ…!しっかりして…!」
「鎖よ!」
その人影はルナの拘束魔術すら効かず、ぱきんと跳ね返す。人影はその場で、ただ狂ったように笑っていた。笑い転げていた。
全身がフードで隠されて、まるで何者かに操られているような動きだった。
「…女王の命は奪えなかったか…
まあいいだろう
王女に傷を付けられたのは良かった…くく…」
「…!」
エステレアが、自らを滅ぼさんとばかりに手に淡く綺麗な光を乗せる。煌々と揺れる輝きは、ルナでさえ見たことないほどのエステレアの魔力が籠もっていた。
「神聖なる光よ、不浄なる者を…」
「その呪文は私には聞かないよ、女王」
男の声だった。
「…あなたは誰ですか。」
ルナがその男に問う。
「私は、ブルーメと申す者
女王、あなたなら聞き覚えがあろう?」
はっとした顔で、エステレアが彼を睨む。
「…ブルーメ…なぜあなたがここにいるのかしら
死んだはずでは無かったの」
「おやまあ。私が闇の王に
取り立てられたことすら知らなかったのか。」
「…!なんてことを!お姉様を…傷つけて…
許せません…」
男、ブルーメはフードの中でにやにやしながらルナを眺めていた。
その間にも女王は治癒魔法を詠唱し、ソレイユの傷を癒やそうとしていた。
「女王よ!ここに宣言しよう!
我ら闇の勝利だと!
跡取りであるそいつは、もう戦うことなどできない
そして、後はお前たちの番だ!」
ルナは、いつにない憤りと憎悪を覚えた。
光の王族は、めったにそんな事が無いほど負の感情に乏しい。
ルナは聖槍の刃先を振り上げ、周りと自らの魔力を頭上に集め出す。
「…聖なる槍の秘められし魔力よ…」
「ルナ、おやめなさい!
あなたまで魔力と生命力を枯渇させてしまえば…」
悔しさを滲ませて、ルナはたまった魔力を解き放つ。振り上げた槍を思い切り、振り下ろす。
「…悪しき行いを一掃せよ!」
(お母様…ごめんなさい…)
光に討ち滅ぼされ浄化されていく悪の前で、溢れ、ほとばしる魔力を
ルナは光の中で放ち続ける。
結界や、国の限界まで放つ。
その中で、彼女の意識はだんだんと遠のいていった。
ルナとソレイユはどうなってしまうのでしょう
そして、ブルーメは光の中で何を思ったのか。




