5ー3 王の元へ
23章 正体
ルナは要塞に戻り、アリアを遺跡へと案内した。アリアは辺りを見回しながらついて来る。
「アリア様、ここです。」
「ここは?」
「古の神殿、昔、要塞に封印された遺跡です」
「ほう…随分と輝かしい神殿だな。」
アリアが神殿の豪華絢爛さに感嘆する。と、どこからかキィン…と剣のような音が漏れ聞こえた。アリアが警戒を強め、ルナを軽く抱き寄せる。
「どこからだ?」
「神殿の最深部の方です。行ってみますか?」
「あぁ。」
神殿の最深部に着くやいなや、
どこからか拘束魔術が飛んできた。
「誰ですか!?」
「…また、来たのね。
王子様も一緒に」
マリンの姿をした幻術使いの姿があった。
アリアは素早く剣を構える。
「マリン…の幻術?
こいつは、この前ルナを殺そうとした…?」
「人聞きが悪いわね。殺そうとはしていないわ
斤から守ってあげたんでしょう?」
彼女も槍を構えている。
だが、槍を振りかぶる気はなさ気だ。
ルナはその槍を指差した。
「待ってください。その槍は、まさか」
「この槍がどうかしたかしら」
幻術師は、手に持つ槍をくるりと回す。おかしなことなんて何もない、と言うよう。
だが、その槍はルナの持つ聖槍と瓜二つに見えた。
「わたしの槍がどうしてここに?
なぜあなたが持っているのですか?」
「…笑いませんか?」
「え?」
「笑ったり、馬鹿にしたり、殺したりしませんか?
…しませんよね…あなたたちなら…」
何かを知っているように、彼女の声が低くなっていく。最後は殆ど聞き取れず、でもルナは精一杯否定する。
「最後のほうがあまり聞こえなかったのですが…
わたし達は笑いも馬鹿にもしません
殺すこともしません!」
はっとしたように幻術師が顔をあげる。
「…そう、ですよね…
でも、ごめんなさい、今はまだ言えません…
それならばマリンさんからは姿を変えましょう
と言っても、本当の姿には出来ませんが…」
「…分かりました。ならば、
わたしの姿から服装などを変えてください」
「…え?」
きょとんとした顔で、多分頭にはてなマークをかたち作っているだろう。ルナは続ける。
「それでこの神殿にいて、わたし達に
危害を加えないのならここに居ることを許します。
ただし、戦争が終わるまで。良いですか?」
「ありがとうございます。」
彼女が、優雅な物腰で礼をする。王族や高貴な貴族のような所作に、二人の目線は釘付けになった。
そして結局、話は出来ずに、二人はその場を後にした。
彼女の正体は、一体なんなのかどうしてこの場所にいるのか。
どうしてこの場所に入れたのかは一切分からなかった。
ただ、分かることは、彼女はルナたちを知っていて、彼女たちがいつどこへ何をするのかという事を分かっている。知っている。
ルナとアリアは、黙り込んでいた。
「…」
彼女の正体は結局わからず、
アリアとルナも話せずじまい。
そして、物語は更なる展開へ。




