5ー2 王の元へ
22章 決断
(くそっ…!)
「…ルナ、幻術を使え。」
小声でアリアがルナに呟く。
このままでは殺されてしまうと、ルナの本能も警鐘を鳴らす。
「アリア様!」
「父上。残念ながら、この者はルナではありません」
アリアが弁解しだす。ばればれであろうとも、彼女の命には変えられないと。ルナは従って詠唱を始めた。バレないように必死に。
ロワは怪訝な顔をして、心の奥底では二人を嘲笑っているようだった。
「なに?」
「ルナ、今だ。幻術を!」
誰にも聞き取れないほどの小声で、叫ぶように言葉を発し、ルナは姿を変える。
魔力を制御しつつも、白くぼさぼさな髪、茶色い瞳と曲がった腰、いわゆる老婆のような姿になって、アリアにもたれかかる。
「…」
祈るような気持ちと面もちで、ルナとアリアは切り抜けられることを一心に祈る。
ロワはくっと笑い、肘おきに頬杖をついた。
「ふうむ。まあよい。下がれ。」
「ありがとうございます。」
跪いて一礼し、ルナはその醜い姿を保ったまま、アリアと城を後にした。
ぱたぱたと走るアリアに、ルナはだんだんと走るスピードが遅くなっていく。
「大丈夫か?」
「アリア様、もう、良いですか?魔力が限界です…」
「あぁ。すまないルナ。」
幻術は魔力の消費が激しく上位魔術のためにルナの魔力でも5分が厳しいくらいだった。
枯渇した魔力がルナを少しずつ蝕む。
「はあ、はあ……アリア様、魔力を貰っても良いですか?」
「分かった。」
「…ふっ!」
息を切らしながら懇願するルナに、アリアはそっと、優しく頷く。ルナと手をつないで魔力を彼女の身体へと回す。
───魔力移行
右から左へ、左から右へぐるぐると暖かな力が回る。これが光の王族の魔力…と吸い取られる魔力に、アリアも少しふらつくのが分かる。
闇とは相容れない、美しく白い輝き。
魔力が身体を回り終えたとき、ルナは少し回復した。
「これで大丈夫です。ありがとうございます。」
「…これから、どうする」
アリアはルナとペガサスに乗り込んで、ばさばさと飛ばす。
ルナは俯いて、あ……と迷いながらも言う。
「アリア様に、きてほしい所があります」
「…分かった。」
「では、要塞へ戻りましょうか
そこでなくては、話ができません。」
アリアがルナを抱きかかえながらペガサスは勢い良く飛び、トリクル要塞へと戻っていった。
ルナはアリアに何を話すのでしょうか?
ルナとアリアは結婚しているのに
婚約者のようなことをしてしまいます
とりあえず、二人は結婚していますよ!




