3ー1 わたしの選択
11章 忌々しい光
「そんな…嘘…」
「落ち着け、ルナ
大丈夫だ。」
力が抜け落ちるルナをアリアが支える。
食欲の湧かないルナだったが、アリアが無理やりお粥を食べさせて王宮へ向かった。
ばん!と勢い良く思い切り扉をあけたために少し扉が歪んだような気がした。
重い音をたてて扉が開いていく。
「父上!!」
「…アリアか…
どうした」
「光の国に侵略を始めたというのはまことですか?」
訪ねるアリアに、王はゆっくりと、でもはっきり頷いた。あぁ…と絶句するルナを支え、アリアは歯を食いしばる。
「…あぁ、そうだ。
あのような忌々しき国など葬り去れば良い」
「なぜ、そのようなことを…」
「光の国の姫君…
いや、今は闇の王国の王子妃か
理由など要らぬだろう
呪い持ちのお前には分かるはずだ」
アリアはルナに耳打ちした。
苦虫を噛み潰したような顔つきで。
「…ルナ、逃げるぞ」
「え?」
「邪気を感じる。
お前を付け狙う影の存在がすぐそこにいる…」
アリアが王に言ったときだった。
「父上、失礼しました。
…ルナ、危ない!!」
「!?」
何者かが剣を飛ばしてきた。
明らかな殺意を抱いて。でも、王も知らん顔で剣が飛んできた方を向く。しかし、そのほうは薄暗く、見えづらかった。
「では、これで。」
その隙に、素早くアリアはルナを抱きかかえて逃げ、馬に乗って急いで離宮まで戻った。中に入るや否やルナがアリアにすがりつく。
「…アリア…様…わたし…」
ルナが泣き崩れる。
「…オレも、いずれ出陣の命が下るだろう
もしかしたら、お前にも…」
「そんな…!」
「嫌なら、お前だけでも光の国に戻るしか…
そうしたとしても無事でいられる確証はない」
ボロボロと大粒の涙を零す。
鼻の先まで赤く染め上げて、ぎゅっとアリアにしがみつく。
そして、何かを決心したような顔をして面を上げた。
「…なら、止めましょう」
「え…」
驚く顔をするアリアに、ルナは気丈ににこ、と微笑んだ。
「わたしたちが、戦争をやめさせれば
きっと、平和になります
わたしたちがやれば…」
「…オレはお前を離したくない…
失いたくない…
お前の苦しむ顔を、見たくない…!」
アリアがルナを抱きしめ、額にキスを落とす。
それを払いのけることなく、彼女は話す。
「それは、わたしもです。アリア様
けれど、戦争ははじまってしまった…
だから…行きます。わたしは」
「…わかった。」
ずっと昔、光の女王エステレアからもらった青糸。久しぶりにその糸で髪を結い上げる。
そして、服も星々が加工された絹糸で作られた王族を表す白いローブに着替えた。
アリアも、地の壮麗な力を込めた王子の服に袖を通した。
騎士の勲章をつけたビロードを羽織る。
「…お前たちは、ここで解放しようと思う
お前たちが戦争から逃れられる場所を差し出そうと思う
もしも、ついてきてくれるならば、
それ相応の報酬を払うと約束しよう。」
従者二人は、すぐさま二人の前に跪く。
お金に目が眩んだ訳ではない。本当に、彼らは二人のことが大好きだからだ。
「何を仰るのですか、アリア様
私達はどこまでもついて行きます!
私達は二人の従者なのですから」
「…皆さん、ありがとうございます…!」
戦争をとめるため
世界を再び平和にしようと
動き出す二人
でも、現実は甘くは無かったみたいです。




