20―2 狂い始める世界─エアリアル
7章 描かれなかった先に2
「上手くいったか……」
戻ってきたアリアはまず立ち上がって辺りを見回した。
古城に戻ればルナたちもいたし、完全に安心しきっていた。ベッドに横たわる。
「……とりあえず、休まないとな。無理な魔術で身体が消耗しているし…」
しかし、突然訪れる。
「……!」
ぐらりと視界が揺れる。輪郭がぼやけ、世界が闇へ変わる。
「ぐ……はっ…」
終わりの、始まり。
♢♢♢
時は今に戻ってくる。
「アリア様?」
コンコン、とルナはアリアの部屋をノックした。アリアは気付いていながらも無視をする。
ルナは「いるんですよね?」と心配げに声をかけてくるが、アリアの返答も反応も無い。
「入りますよ!?」
声を荒げつつルナが扉を開ける。
「アリア様!!」
ベッドに倒れたアリアをいだいて、ルナは治癒魔法を唱えた。けれど、彼は苦痛に歪んだ顔を浮かべたまま。
「…っ…アリアさま…」
ありもしなかったであろう禁忌と、関係があるのか。
「アリア様…」
ずっと、気付いていなかった彼らの敵は誰なんだろうか。
♢♢♢
「……洗脳は成功です」
「ふむ…それで、アリアはどうした?」
「……意識を昏倒させていますが、王女の治癒魔法によって、効果は長く持たないかと」
ぎり……それは、忌々しげに爪をかむ。
闇の真っ暗な世界。ずっとそれが捕らわれる、悲しい世界。
「あの王女は、どこまで行ってもつきまとうのですね……煩いことこの上ありませんが、仕方ありません。余裕な顔をしていられるのも、今のうちです…ふふ」
「我らは、ずっとあなた様をお待ちしております故。早くこの忌々しい封印をときたいものですがね」
「良いのです。我が娘アイリスがここにきてしまった以上、そう簡単には殺せません。闇の王ロワを私の力の片鱗で服従させれば、世界は破滅へと進むかとも考えましたが…浅はかだったようですね。まぁ、まだ誰もわたし達のような存在なぞ、知る由も無いでしょうけれど…」
ふふ……と妖艶に笑うそれは、にこりと自分を待つ人へと笑みを向ける。
人らはぞくりと背筋を震わせて、その場にうなだれる。
「軟弱な人たちですね。あの王女も王子も、わたしにかかれば一瞬で消し炭にしてさしあげられるのに。……ただ、この神殿では間が悪いですがね」
女神と呼ばれし少女の作る、神聖なる神殿の像が、なまめかしく怪しい輝きを一筋、誰にも気付かれることなく放っていた。




